ハロウィン本番を迎えた31日夜、「西の聖地」として知られる大阪・ミナミには、仮装した若者らが集結した。2022年の韓国・ソウルの梨泰院(イテウォン)で発生したような雑踏事故を防ぐべく、大阪府警は約200人態勢で周辺を警戒した。
暗くなり始めた午後5時すぎ、観光名所の看板「グリコサイン」がある戎橋周辺は、着ぐるみを着たり、バニーガールなどの衣装を身に着けたりした若者やインバウンド(訪日外国人客)らでにぎわい始めた。
米動画配信大手ネットフリックスの人気ドラマ「ペーパー・ハウス」に登場する赤色の作業着のコスプレをした奈良市の高校3年、尾崎凛さん(18)は「1週間前からどんなコスプレをするか考え、準備してきた。友達とたくさん写真を撮って楽しみたい」と笑顔を浮かべた。
ただ、今年はプロ野球阪神が出場する日本シリーズと重なり多数のファンが集まった昨年とは異なり、「昨年テレビで見た大阪のハロウィンの様子と比べて思ったよりも人は少ない」と話した。
午後7時を回ると仕事帰りとみられるスーツ姿の人たちも増え、戎橋の上は、前進するのが困難なほどに。府警は警戒を強め、橋の欄干付近に警察官が並んで近寄れないようにガード。マイクや拡声器で「(橋の上で)立ち止まらないでください。大変混雑しています」などと呼びかけ、午後8時過ぎには橋を封鎖した。
戎橋付近で写真撮影をしていたデンマークからの観光客、ニコライ・ジェイクさん(24)は「母国でハロウィンに仮装するのは子供だけだが、日本は大人も子供もコスプレを楽しんでおり、良い光景だ」とほほ笑んだ。
道頓堀川の水位を管理する大阪市では、万が一橋の上から飛び込む人が出た場合にけがをしないよう、通常時よりも水位を上げて備えた。同市建設局の担当者は「水位を上げたとしても飛び込み行為は危険。絶対にやめてほしい」と訴えた。(土屋宏剛、木下倫太郎)