ヒット作の続編は難しい。例えば映画「ゴッドファーザー・パート2」や「ターミネーター2」のように、続編の方が面白いこともあるけれど、かなりのレアケース。ネットフリックスで配信中の「イカゲーム2」も「どうかなぁ」と思っていたけど、余計な心配でした。第1シーズンとは別次元の面白さが詰め込まれ、展開も予測不能。見始めたら止まらない。
失職や借金で生活苦に陥った人々を集め、命懸けのゲームをやらせる「イカゲーム」。一獲千金を夢見て集まった参加者は、最初の遊戯でパニックに陥る。何しろ「だるまさんがころんだ」をして、少しでも動いたら即銃殺。のどかな子供向けの遊びが、むごたらしい殺戮(さつりく)現場に急転する。
参加者は恐怖におびえながらも大金の誘惑にあらがいきれず、課されるゲームに挑んでいく。参加者同士で殺し合う事態も起きる。VIPと呼ばれる富豪たちが、文字通り必死の参加者を見下しつつ賭けの対象にする。社会格差をシニカルに描いた作品だった。
「2」は、そのゲームをクリアしたサバイバーの逆襲がテーマだ。ソン・ギフン(イ・ジョンジェさん)は獲得した456億ウォン(約48億円)の賞金を軍資金に、主宰者を捜して蛮行を止めようとする。そのためになんと、もう一回ゲームに参加することになる。
2度目のギフンは他の参加者にノウハウを教えたりして、何とか命を救おうとする。投票による中止の呼びかけもする。でもゲーム内容が前回から変えられるなどし、なかなかうまくいかない。しかも、脱落者(死者)を減らそうとする行動が、強欲な参加者には邪魔になる。誰かが死ぬたびに賞金が増える仕組みだからだ。孤立する正義。ゆがんだ世界での救いのない対立が切なすぎる。
第1シーズンで、印象的な敵キャラを演じていたイ・ビョンホンさんも引き続き登場していて、今回はなんと―。詳細は書かないけど、絶妙な立ち位置でぐいぐいドラマを牽引する。(ライター 篠原知存)