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平城京の西京「道鏡の寺」地盤強化に旧寺の資材転用 大阪・八尾市、由義寺跡を調査「都のために塔建立明確」

産経ニュース 2024年8月1日 18時18分

奈良時代の女帝、称徳(しょうとく)天皇と僧の道鏡(どうきょう)が建立した国史跡「由義(ゆげ)寺跡」(大阪府八尾市)で、七重塔を建てる地盤を強化するために、前身の寺院・弓削(ゆげ)寺の資材が転用されていることが発掘調査で明らかになったと、市が1日発表した。769年に離宮・由義宮(ゆげのみや)を整備し、一帯を平城京の西京(にしのきょう)とする詔(みことのり)が出された経緯もあり、旧寺を取り壊して〝都〟にふさわしい新寺を建造したことがうかがえる貴重な発見としている。

今回の調査対象は由義寺の塔の基壇(土台)の東側部分。地表から約1・5メートルの下層まで掘り下げたところ、弓削寺で使われ、大阪府と奈良県境にある二上山(にじょうさん)で産出された凝灰岩の切石(縦80センチ、横30センチ、厚さ26センチ)が15点見つかったほか、瓦や玉石なども確認された。

それらは地盤が弱い層に敷き詰められていたことから、調査を行った市担当者は「地盤を補強するため、弓削寺の階段に使われたとみられる切石などが転用されたと考えられる」と説明。寺周辺は複数の河川が流れ、地盤が軟弱なため、称徳天皇の1回目の行幸(ぎょうこう)があった765年ごろから地盤強化工事が進められたとみる。

西京や由義宮の正確な位置はわかっておらず、由義寺も「続日本紀(しょくにほんぎ)」に記載があるが、詳細は不明で幻の寺とされる。平成29年に七重塔とみられる基壇が見つかり、今年度まで発掘調査が続けられてきた。古代寺院に詳しい京都府立大の菱田哲郎教授(考古学)は「由義寺の塔が西京と呼ばれた新しい都のために建立されたことが明確になった」と評価した。

現地説明会は4日午前10時~午後1時。問い合わせは市観光・文化財課(072-924-8555)。

(西川博明、写真も)

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