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不思議に劇的な「Snow Man」宮舘涼太のダンス 全方位ch

産経ニュース 2024年6月29日 9時30分

9人組のアイドルグループ「Snow Man」のバラエティー番組「それSnow Manにやらせて下さい」(TBSテレビ系)で不定期に放送される企画「ダンスノ完コピレボリューション」はすごい。

誰もがどこかで聞き覚えのある楽曲のサビ部分を中心に、振り付けを3分間で覚え、間違えずに踊り切る「完コピ」ができるかどうかをゲストたちと競う。短時間で振り付けを覚え、踊ってみせる出演者たちのすごさを語る言葉を、マイム・マイムしか踊れぬ私は持ち合わせていないのだが、Snow Manの宮舘涼太の乱れぬ表情に毎回、目を奪われている。

韓国、日本、中国出身の9人で構成するグループ「Kep1er」の5人のメンバーらと対決した4月19日の放送回で、宮舘はブラックビスケッツの「Timing ~タイミング~」を完コピした。ダンスの最中、宮舘は笑みを挟みつつ、基本的に目が据わっている。

メンバー3人(岩本照、佐久間大介、ラウール)と挑んだSPEED「Body & Soul」では途中で間違えているにもかかわらず、どうだと言わんばかりに表情を乱さない。あの企画で踊っているときの宮舘は、面をつけているかのようなのだ。

ふと、観世流シテ方の能楽師、観世寿夫(1925~1978年)の言葉を思い出すのである。「面は『着る』とも『つける』ともいうが、大方は、『かける』といい慣わしている。何かを自分にかける(掛ける・懸ける)、つまり術をかける、という含みもあるように思う」(『新版 能・狂言事典』の「観世寿夫著作集」から)

宮舘はこの境地なのかもしれない。つまり、見えない面をかけ楽曲のアーティストになりきる術を、自分にかけているのである。

観世寿夫は無機的な木彫品である能面と人間に湧き上がる肉体的なものとの闘いにより、「不思議な劇的なものを立ちあらわせる何ものかがある」と説いた。

なりきる術をかけていると思って宮舘が踊る姿を見ると、「不思議な劇的なもの」という観世寿夫の言葉に通じるものを感じる。

別の放送回で、険しい表情で「僕は嫌だ」と叫んでからの欅坂46「不協和音」でスタジオの空気を一変させた宮舘の姿に、私は心が震えた。(圭)

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