桂ざこばさんが急逝されました。いまだに信じられない気持ちでいっぱいです。何度も寄席や番組でも共演させていただき、何度もごちそうになりました。
11年前、自作の創作落語「冷蔵庫哀詩」のアニメを自主製作しました。冷蔵庫の食材たちを描いた落語で、登場人物が多く、ほとんどのキャラクターは自分で声を変えて収録し、「hanashikaの時間。」のパートナー、小川恵理子ちゃんにもヒロインのプリンちゃんの役で声の出演をしてもらいました。
ほかにも納豆の役を桂小枝さんにお願いしたのですが、どうしても最後の父親のセリフをざこばさんにしてほしくてお願いしたところ、たいしたお礼もできないのに快く引き受けてくださいました。アニメの顔もざこばさんがモデルです。
動楽亭の楽屋で台本を見せ、楽屋横の騒音の少ない洗面所に一緒にこもって僕のICレコーダーで何パターンものセリフを収録してくださいました。物語の最後の言葉を実にほのぼのとした口調でキャラクターに命を吹き込んでくださいました。
ある日一緒に飲んでいるとき、「噺家で誰が一番好きや?」とストレートに聞いてきはりました。僕は「1番は師匠春団治で、2番目はざこばさんです」と、べんちゃらでもなんでもなく正直にそう言うと「春団治師匠の次が僕か?」と、ものすごいうれしそうに笑ってはりました。そのときの少年のような笑顔が今も忘れられません。
ざこばさん、ありがとうございました。安らかに。