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毎回が崖っぷちサスペンス「潜入兄妹」 イマドキTV+

産経ニュース 2024年10月26日 8時30分

いやいや設定に無理があるでしょう…と思った「潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官」(日テレ系、土曜夜)なんだけど、意外にハマってしまっている。竜星涼さんと八木莉可子さんが兄と妹を演じるダブル主演。

神奈川県警の元巡査、渡良瀬貴一(竜星さん)は、父親を殺した男を捜している。それを知った警察当局は、鳳凰(ほうおう)の入れ墨をした男が率いている詐欺グループ「幻獣」を摘発するために、貴一を潜入捜査官として送り込もうとする。

…のはいいとして、貴一が幻獣主催の闇バイト面接に行ってみたら、凄腕ハッカーである妹の優貴(八木さん)もなぜか応募していて、晴れて一緒に合格。兄妹で犯罪組織に仲間入りという展開は斬新だった。

潜入捜査ものというとサスペンスとしては定番の一つで、香港映画「インファナル・アフェア」やタランティーノ監督の「レザボア・ドッグス」のように傑作も多いし、もともと私も好きなジャンルだ。

潜入者視点の物語では「バレたら終わり」という緊張感を、どう高めるかが大事なポイント。無難に隠し切れたらドラマにならない。バレそうになってのハラハラドキドキは必須で、そういう意味では、偽装に穴があった方がスリリング。兄妹で潜入というむちゃ振りは、なかなか効果的なのだった。

キャラ設定も嫌いじゃない。基本が善人で、潜入中も、人を殺傷したり財産を奪ったりはできない。でもワルでないと信用されない。せっかく悪の組織に入ったのに、悪事を働けないという二律背反が悩ましい。そこで兄妹が設定するのが、「悪人しかだまさない」という独自ルールだ。いわゆる義賊路線ね。

厳密には、妹がガンガンやっているハッキングは不正アクセス禁止法に引っかかりそうだし、兄だって偽ID使って不法侵入とか、普通ならアウト。それでも悪人を標的にすることでギリギリセーフという感じ。

毎回「最悪だ」とぼやきつつも何とか逃れる崖っぷち兄妹。ヒネリの効いた危機脱出劇に今後も期待。(ライター 篠原知存)

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