先日、甲南大学に講師としてお招きいただきました。「落語家の世界」というテーマで、私が話をさせていただきながら、学生さんからの質問にお答えして、ディスカッションを行うという内容でした。その様子のほんの一部を紹介させていただきます。
学生 人前で話すとき、すごく緊張するのですが師匠は緊張しませんか。
鶴二 毎回、すごく緊張して高座に上がっていますよ! しかし緊張感のない舞台は、お客さまも緊張感をもって聞いていただけないと思います。
学生 生で落語を見に行ったことがあるのですが、YouTubeなどで見させていただいたときと全然違う迫力がありましたが、なぜでしょうか。
鶴二 同じ空間でお客さまに演者の緊張感が伝わり、また気持ちが解かれた瞬間も共有できたからだと思います。やはり実際に目を見て話すことは大切ですね。
学生 弟子入りして、すぐに落語を教えていただけるのですか。
鶴二 いいえ、修業中は師匠の身の回りのこと、掃除から始まり、着物のたたみ方や衣装の荷造り、着物の着方、楽屋の作法などを教えていただきます。これができないと楽屋に付いて行けません。また後々、これがすごく役立ちます。
学生 お稽古で落語を教えていただくときはどんな感じなのですか。
鶴二 初めの頃は口伝で教わります。若手の頃、口伝で教わった落語は、今でもすぐ出てきますよ。恥と汗を思い切りかいてますから。
学生 若手の方はあまり人情噺をされないんですか
鶴二 人情噺はある程度の年齢に達しないと、重みや説得力が出ないからなんですよ。落語家はとにかくいろいろな経験値がものを言いますからね…。
―以上、本当に楽しく盛り上がった90分でした。
道頓堀ほのぼの落語会
道頓堀ミュージアム並木座(大阪市中央区)で7月28日(日)午後2時開演。出演は笑福亭鶴二。問い合わせ、予約は笑福亭鶴二後援会・辻(090-3263-0435)。