「浪花のモーツァルト」の愛称で親しまれ、5月に93歳で死去した作曲家、キダ・タローさんが最後に手掛けたCMソングが6月15日から関西圏で放送されている。葬儀会社「大阪祭典」(大阪市浪速区)のテレビCMで、家族葬をテーマに、老夫婦がデュエットで「お~ねがい~ ちゃんとした~か~ぞ~くそう~」と明るく歌い上げる。
同社によると、楽曲が制作されたのは今年2月。放映の準備を進めていたさなかの訃報だったが、キダさんの遺族の意向も受け放送することを決めた。
歌詞はスナック編とラウンジ編の2パターンがある。視聴者が思わず口ずさんでしまうCMソングを数多く手掛けたキダさん。CMに出演するタレントの大平サブローさんは、最後となったCMソングも「やっぱり耳に残る」と話した。
キダさんの所属事務所によると、キダさんは2つのメロディーを制作。担当者はどちらか一つに選びがたく、「それぞれの前半と後半をつなげて一曲にしましょう」と提案すると、キダさんはあっさり承諾したという。
CMは大阪祭典のホームページにも掲載している。同社は「偉大な浪花のモーツァルトに作曲していただけたこと、最後の作品になったこと、奇跡的なメロディーが生まれたこと、全てを誇りに思います」とコメントしている。