介護の現場に人工知能(AI)を生かそうという試みが始まっている。このほど設置された有料老人ホーム「リハビリホームグランダ高槻」(大阪府高槻市)は、介護のノウハウなどを教え込ませたAIを導入。人の力と合わせて介護の充実を図る。
ホームを運営するベネッセスタイルケア(東京)によると、AIは、介護技術や認知症ケアなど高い専門性を有する職員が取得できる独自の社内資格「マジ神(かみ)制度」の知見を活用。「マジ神AI」と名付けた。同社に蓄積された100の事象を教えこませ、各利用者の症状などに合わせた対処法などを導き出す。
センサーで計測した利用者の睡眠時間や利用者の生活スタイルなども加味し、生活の質の向上を目指す。デジタルトランスフォーメーション(DX)導入で、介護職員の人材育成にもつなげるなどとしている。
「マジ神」は、高い介護技術をもつ職員の仕事ぶりをみた若手が「マジ、神ッスね」とうなったことに由来するという。同社の祝田健執行役員(介護DX推進担当)は「介護職は利用者の日々の状態を細かく記録することが重要。そのうえでAIが対処法などの可能性をアシストしてくれる」と話す。