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「暴れん坊将軍」は楽しく、明るく 舞台でみせる時代劇の神髄、松平健50周年公演

産経ニュース 2024年10月3日 13時0分

大阪市天王寺区の大阪新歌舞伎座で5~23日、俳優の松平健(70)がデビュー50周年を飾る記念公演に臨む。白馬で駆ける「暴れん坊将軍」でおなじみの時代劇のスターは、NHK連続テレビ小説(朝ドラ)「おむすび」でヒロインの祖父役を好演。芸歴に裏打ちされた演技の幅の広さを見せているようでいて、照れくさそうに「ちょっと緊張しましたよね、最初は」。

「50年もたったかという思いですが、デビューの頃は携帯電話もなかった。大きい携帯ができて、だんだん小さくなって…そんなに年がたったのですね」

9月30日に始まった「おむすび」ではヒロイン、米田結(橋本環奈)の祖父・永吉を演じ、新境地を開いている。朝ドラは初出演だが、ホームドラマは憧れだったという。

「若いときはあまり興味はなかったんだけれども、『時間ですよ』や『寺内貫太郎一家』を見ながら、年を取ったらこういうのに出たいな、と思っていた」

アクションスターに憧れ、この世界に入った。昭和49年に勝新太郎主宰のプロダクションへ。時代劇にのめり込むと、23歳のときに転機が訪れる。「暴れん坊将軍」(テレビ朝日系、昭和53年~)の主演に抜擢(ばってき)された。

江戸幕府8代将軍、徳川吉宗が貧乏旗本の三男坊・徳田新之助(新さん)として町に繰り出し、庶民を苦しめる悪や不正をただす。将軍のときは威厳に満ち、新さんのときは風来坊。表情、声、下積み時代に身につけた時代劇ならではの所作で演じ分ける姿は、不正に手を染めた悪者が「余(よ)(将軍)の顔」を見忘れるのも仕方がない。

四半世紀続いたシリーズは今も再放送が絶えない。「大河ドラマ『草燃える』(54年)の北条義時役で名が知れて、『暴れん坊』の視聴率が上がっていったんじゃないかな」と振り返りながら、こうも語る。

「始まった頃は3カ月で終わるとか、こんな新人が…みたいなことも言われました。でも、プロデューサーが『一緒に続けような』と言ってくれましてね」

彗星(すいせい)が落下するユニークな回もあったが、隕石(いんせき)が落ちた史実がベースになっているとか。志向したのは楽しい、明るい時代劇。「映画で照明を担当した方が来たとき、もちろん夜のシーンは暗くしたんですが、明るくして撮り直しました。『暴れん坊』は夜でも明るいんです」

50周年記念公演でも「暴れん坊将軍」を上演する。吉宗と新さんの切り替えは、舞台では物語を進めながらとなる。

「場面転換が多く、早着替えも多い。かつらも変えないといけない。将軍と新之助のかつら、違うんです。舞台裏は大変で、スタッフとの息が合わないと、間に合わない」

テレビで時代劇の新作を見かける機会が減った中、独特の所作の美しさといった魅力を伝えたいという思いもある。「最近の時代劇は現代調のせりふ回しがあるなど、昔とは随分変わってきた。歩き方も気になりますね。舞台では『昔の時代劇』というものを見ていただけたらいいかな」

あの音楽とともに、白馬に乗った、威厳に満ちた姿で始まるオープニング。舞台では?

「テレビと一緒ですよ。白馬に乗った将軍が出てくる。走りますね…イメージでは」(渡部圭介)

「松平健芸能生活50周年記念公演」は舞台「暴れん坊将軍」と、「マツケンサンバⅡ」などを詰め込んだ「マツケン大感謝祭~歌って踊って~オーレ!」の2部構成。昼の部(午前11時)と夜の部(午後4時半)あり。新歌舞伎座テレホン予約センター(06-7730-2222)。

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