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歌舞伎俳優が落語に挑戦 上村吉弥、上村折乃助、上村吉太朗が「九雀の噺」に出演

産経ニュース 2024年8月2日 15時30分

上方歌舞伎の女形、上村吉弥が一門の上村折乃助、上村吉太朗とともに今夏、落語に挑戦する。大阪・天満天神繁昌亭で7日に開かれる落語家、桂九雀の「九雀の噺-美吉屋ご一門を迎えて-」が披露の場で、吉弥と折乃助は9年ぶり、吉太朗は初挑戦となる。3人を教える九雀は、「役者さんだからってお客さんが『鑑賞モード』になっちゃ困る。お三方には、落語なんだから笑ってもらえるようにやっていただきたいですね」と期待する。

吉弥と九雀は、平成5年に九雀の解説付きで始まった「南座 歌舞伎鑑賞教室」で出会ってから20年以上、ともに公演を盛り上げてきた。

吉弥は十三代目片岡仁左衛門に「江戸や上方のなまりが勉強できるから、落語を聴きなさい」と言われてきたといい、27年に一念発起。九雀に落語を習い、自身は「七段目」、折乃助は「蛸芝居」と、芝居好きの登場人物が歌舞伎を再現してみせる「芝居噺」を披露して会場を沸かせた。

「またいつかやりたい」という吉弥の思いが実現した今回は、吉弥と吉太朗が歌舞伎の名作「仮名手本忠臣蔵」の三段目と四段目の名場面を盛り込んだ芝居噺に挑戦する。

「蔵丁稚」で四段目に挑む吉太朗は、「芝居部分は歌舞伎役者として恥じないようにやりたい。落語の部分は…とりあえず頑張ります」とはにかむ。

一方、吉弥が「質屋芝居」で演じるのは、三段目の高師直(こうのもろのう)や塩谷判官(えんやはんがん)、鷺坂伴内(さぎさかばんない)など、女形には縁のなかった役ばかり。「全然自分じゃないから難しくて…もう必死です」と不安そうな顔を向けられた九雀は、「お客さんの意表を突くから楽しんでいただけるんですよ」と笑って励ました。

折乃助は今回は歌舞伎から離れ、泥棒と数枚上手の女性とのやりとりが面白い「転宅」を稽古中だ。落語らしい落語に苦戦しながらも、「歌舞伎のキャラクターに頭の中で置き換えて作っています」と楽しむ。

トリは、歌舞伎にもなった江戸落語の名作「芝浜」を九雀が口演する。「オチのせりふを上方風には変えたくなかった」と、あえて〝江戸弁〟で挑戦する。九雀は「歌舞伎ファンの方にちょっとでも落語を好きになって帰ってもらいたい。それが一番の願いです」。

九雀info(090-9254-8331)。(田中佐和)

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