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「なぜ、高校受験できないのか」 大阪の独自規定に阻まれた男性の訴え from 大阪社会部

産経ニュース 2024年8月3日 8時0分

高卒資格を得たいと願いながら、府内の公立高校を受験できない人がいる。高橋智司さん(23)=仮名。発達障害と診断され、特別支援学校高等部を卒業したが、高卒資格とはならないため定時制高校への進学を目指している。しかし、大阪独自の規定に阻まれ出願できない状況が続いている。

都道府県の公立高校入試の実施要項はたいていの場合、応募資格について「中学校を卒業、または卒業見込みの者」などのように、志願できる人を定めている。大阪はさらに志願できない人まで独自に規定しており、特別支援学校高等部の卒業者もその対象だ。まさに高橋さんが該当する。

高橋さんは中学校の途中までは地域の学校に通っていたが、親からの虐待などで施設に入所。そこから特別支援学校中等部に通うようになった。「十五の春」は高校進学を希望したものの、周囲の状況などで受験はかなわず、そのまま高等部へ。3年のときに大病を患い、長期入院したまま卒業を迎えた。闘病生活は2年間に及んだ。

虐待、病気…。義務教育や教科学習を十分に受けられなかった高橋さんは、夜間中学に入学して学び直す道を選んだ。その先に定時制高校への進学を目指すのは、強い学習意欲に加え、仕事を探す際に高卒資格を求められることもある。

本当は昨年度、高校受験に挑みたかった。だが、出願さえできなかった。悔しさを胸に秘めながら、「今年度こそ」との思いで夜間中学で学び続けている。

文部科学省は今年4月、高校の入学資格に関する通知を出した。そこでは、特別支援学校高等部の卒業者について高校入学資格がなくなるわけではないとしている。

府教育庁によると、独自規定が実施要項で明文化されたのは平成28年度入試からだが、運用が始まったのはかつて公立高校の志願倍率が高かった時代に遡る。初めて受験する中学生の進路保障を優先する意味合いがあったという。

「(公立高校の約半数が定員割れするなど)時代が変わり、文科省の通知もある。検討課題と認識しているが、制度の変更には時間がかかる」と同庁。高橋さんは今年度も受験できないのだろうか。

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