Infoseek 楽天

東大阪の恩師「まだ若い。いい経験に」 日本勢初のメダルは4年後に期待 トランポリンの西岡隆成

産経ニュース 2024年8月4日 12時0分

「トランポリンで日本勢初のメダルを取りたい」-。パリ五輪第8日の2日、トランポリン男子個人に出場した西岡隆成(りゅうせい)選手(20)=近畿大3年=はそんな意気込みで初の五輪に臨んだが、予選2回の演技をいずれもミスで中断し、決勝に進めず最下位の16位に終わった。西岡選手が生まれ育った大阪府東大阪市で中継を見守った恩師は「まだ若いし、いい経験になっただろう」とエールを送り、4年後のロサンゼルス五輪でのリベンジに期待を寄せた。

中小零細企業の町工場が並ぶ同市の一角に、トランポリンを練習する児童らの声が響く。基礎的な体操から新体操やトランポリンなどを教える「キタイスポーツクラブ」だ。西岡選手は2歳から高校3年まで約15年間通ったという。

「目立つわけではなく、真面目な印象が強い子だった」。高校生までの西岡選手を指導してきた同クラブのコーチ、北居宏基さん(38)はそう振り返る。

西岡選手は小学1年から本格的にトランポリンを始め、ジュニア時代から頭角を現す。小6で全日本トランポリンジュニア選手権を初優勝。16歳の高校2年で全日本トランポリン選手権大会を史上最年少で優勝し「成績が右肩上がりでのびていった」(北居さん)。

2021年世界トランポリン競技選手権大会では高校生ながらも、3回宙返りを7回入れる大技を見せて「難度点世界記録」を樹立し、銀メダルを獲得。昨年の世界選手権は銅メダリストとなるなど、世界のトップ選手らに肩を並べる存在に成長した。

西岡選手の素質が開花したのはトランポリンへ向き合う姿勢に「手抜き、無駄が少ない練習の積み重ねの結果」と北居さんはみる。

トランポリン競技が五輪に採用されたのは2000年シドニー大会から。前回五輪までで日本勢の最高成績は、西岡選手の現在のコーチをつとめる伊藤正樹さんらの4位入賞だった。

そんな壁をやぶろうと、西岡選手はパリ五輪へ臨むにあたり「プレッシャー(重圧)をエネルギーに変え、最高の演技で金メダルを取りたい」と意気込んでいた。ただ、予選2回の演技はいずれも高難度の3回宙返りなど持ち味の技が安定せず、最後の10回目までジャンプできず終わった。

演技を終え、西岡選手は「一体何をしていたんだろうか。自分の気持ちをコントロールできていなかった」などとコメントした。

育ての親といえる北居さんは、初めて五輪の舞台に立った元教え子に「自分の演技をするだけ」との思いでインターネット中継を見守ったが「本来の演技ではなかった」と感想。実力通りの演技ができたとしても「最高で4位だったかな。メダリスト3人との差はあった」とみる。五輪で〝4位の壁〟をやぶるため、さらなる進化に期待した。(西川博明)

この記事の関連ニュース