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米共和党「民主党は非民主的」との印象付け狙う バイデン氏撤退で攻勢へ

産経ニュース 2024年7月22日 8時18分

11月の米大統領選で政権返り咲きを狙う共和党とその候補者指名を受けたトランプ前大統領(78)は、民主党のバイデン大統領(81)が党内圧力の高まりで撤退を決意したことについて、同党が民主的手続きを尊重していない証左だとの印象付けを狙う構えだ。民主党は、2020年大統領選での落選を否定するトランプ氏を「民主主義の敵」だと主張しているが、今後は逆の攻勢にさらされることにもなる。

共和党のジョンソン下院議長は21日、X(旧ツイッター)への投稿で、民主党はバイデン氏を撤退に追いやることで「(予備選で)ジョー(・バイデン氏)に投じられた1400万票以上を無効化した」と主張。同様の指摘は共和党の有力者たちから相次ぐ。そこには、民主党は政権にとどまるためなら、いったん示された「民意」をほごにさえする非民主的政党だ-との含意がある。

選挙戦を巡り共和党内では、6月の候補者討論会で精彩を欠き、認知機能低下への懸念が広く知れ渡ったバイデン氏が選挙戦にとどまる方がトランプ氏に有利だとの見方が強かった。バイデン氏の政権担当能力に強い疑義を呈することができる上に、同氏が再選後に不慮の事態に陥った場合は経験の浅いハリス副大統領(59)が昇格することになるとの不安をあおることが可能だからだ。

実際、トランプ氏側の最近のテレビCMは、ハリス氏に照準を絞った内容が目立つ。米政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の集計によると、討論会以降、バイデン氏の支持率は低下が続き、勝敗を左右する激戦7州ではトランプ氏に平均4・4ポイントのリードを許していた。

しかし、バイデン氏がハリス氏に道を譲り、初の女性大統領誕生に向けた期待が高まれば、トランプ氏の優位が揺らぐ可能性も出てくる。共和党が、「民主党は非民主的だ」との印象付けを図るのは、そうした機運を押さえ込む狙いからだ。

一方、トランプ氏は21日、自身の交流サイト(SNS)でバイデン氏を「いんちき」と呼び、「嘘やフェイクニュース」で政権の座に就いたなどとこき下ろした。トランプ氏は、13日に起きた自身への銃撃事件を受け、政治分断を激化させる挑発的な表現を避けて国民の「融和」を促すメッセージを発信する考えを示していたが、従来通りの罵倒表現が再び前面に出た格好だ。(ワシントン 大内清)

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