【ワシントン=坂本一之】トランプ新米大統領(共和党)は閣僚や要人など政権幹部に忠誠心の高い人物を多用し、第1次トランプ政権で起きた意見対立を回避し自身の意向が強く反映される体制を整えた。特命組織も立ち上げて政策実行を推進する一方で、閣僚には元民主党議員も名を連ね、共和党の伝統的保守派からは不安も漏れる。
トランプ氏はホワイトハウスで外交・安全保障政策を取り仕切る大統領補佐官(国家安全保障問題担当)にウォルツ氏、国務長官にルビオ氏を起用した。ともにトランプ氏の私邸があるフロリダ州選出の連邦議会議員で距離が近く、国防長官は番組を通じ関係を深めた保守系テレビ司会者のヘグセス氏を指名した。
教育長官には大口献金者の1人で、1次政権で中小企業庁長官を務めたマクマホン氏を選ぶなど、自身への忠誠心や資金貢献を重視し、政権の〝純化〟を図っている。
トランプ氏は1次政権で当時のティラーソン国務長官やマティス国防長官、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)らと意見が対立し解任や辞任が相次いだ。
ホワイトハウス内のスタッフ同士でも対立が起きたことを踏まえ、2次政権では異分子を排除しようとしている。AP通信によると、国家安全保障会議(NSC)職員に大統領選の投票先を確認し、トランプ氏への忠誠心を審査しているという。
重要政策を巡っては異論をはさませず、素早い政策遂行を図る方針だ。特命組織として政府の改革を進める新組織「政府効率化省」や、関税や海外から得られる収入を徴収する「外国歳入庁」を立ち上げる。政府効率化省は巨額の献金でトランプ氏再選を支えた実業家のマスク氏らが率いる。
一方、厚生長官候補は昨年の大統領選で一時、民主党候補指名争いに名乗りを上げていたケネディ氏だ。トランプ氏が大統領選で無党派層獲得や民主党支持層を切り崩すために取り込み、閣僚に起用した。
国家情報長官には元民主党下院議員のギャバード氏が指名され、トランプ氏と共和党候補指名を争ったヘイリー元国連大使が「話すことがロシアのプロパガンダだ」と批判。細かい政策を巡り共和党議員側と摩擦を起こす可能性もある。