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レーガン伝記の波紋 トランプ氏を次元の違う指導者とこきおろす示唆も ポトマック通信

産経ニュース 2024年10月2日 7時0分

私の長いワシントン報道でも最も強烈な印象が残るのは共和党のロナルド・レーガン大統領である。1980年に民主党現職のカーター大統領を地滑り的大勝で破り、2期8年を務めた。ソ連共産党政権と対決し、圧倒した歴史的業績で知られる。近年でも最高人気の大統領として民主党層からも好かれてきた。

レーガン氏についての超大作の伝記「レーガン」がいま米国で出版され、話題の輪を広げている。著者が異色の保守派の政治学者マックス・ブート氏であることもワシントンの国政の場での関心を高めた形だ。

800ページ超の同書は「彼の人生と伝説」という副題。膨大な資料に加えて100人以上の関係者の話を集め、これまでのレーガン本では最重厚な感じだ。ブート氏はレーガン氏が細かな事実の把握が苦手なことを強い思想や倫理で補い、広大なビジョンを打ち出したという経緯を生き生きと描いている。

ブート氏は旧ソ連出身で、少年時代に米国に帰化したという出自だが、保守派の政治学者としての鋭い研究で知られていた。だが保守とはいえ、トランプ前大統領には批判的で本書でもトランプ氏をレーガン氏との比較で次元の違う指導者だとこき下ろす示唆が散見される。そんな点もこの本への興味を拡大しているようだ。(古森義久)

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