【ニューヨーク=坂本一之】ダン・クエール元米副大統領は26日の産経新聞のインタビューで、トランプ次期大統領は「共和党で支配力を持っている」と語り、同党がレーガン元大統領時代の「レーガン党」から「トランプ党」に変化していると指摘した。ただ、トランプ党が続くかどうかは2期目の成果次第で、レーガン党への揺り戻しもあり得るとみている。
トランプ氏は共和党内で人気の高いレーガン氏が使った「米国を再び偉大にする」「力による平和」といった言葉を用いて支持を集め、大統領選で勝利した。
共通のスローガンがあってもレーガン党とトランプ党は異なる。クエール氏は現在の共和党は以前よりも「国家主義的でポピュリスト的だ」と語る。「米国第一」主義を掲げ国内を優先するトランプ党は「少し孤立主義的で、少し保護主義的だ」という。
レーガン党は同盟国や自由貿易を重視し、トランプ党に比べ「よりグローバルなアプローチだった」。クエール氏は、レーガン氏が「北大西洋条約機構(NATO)など同盟関係の重要性を信じていた」と振り返り、中朝露などとのディール(取引)を重視するトランプ氏との違いを語る。
クエール氏は今後の共和党について「トランプ氏引退後にどこに向かうかが課題だ」と話す。2期目のトランプ氏は規則で「大統領選に再出馬できない」。
トランプ氏が今回の任期で「経済成長や雇用、移民対策などに成功すれば、共和党はトランプ党であり続けるだろう」と予想する。逆に成果がなければ、政策や党の立ち位置が議論になり、レーガン党の姿に戻っていく可能性もある。
トランプ氏の政策運営を左右するのは2026年の中間選挙だ。共和党は今回の大統領選と同時実施された議会選挙で上下両院の主導権を握った。
しかし、中間選挙で多数派を失えば法案が民主党に否決され、残り任期の政策実行が停滞する。クエール氏は中間選挙で政権与党が議席を減らす傾向があり「下院で多数派を維持するのは難しい」と語る。
トランプ氏が中間選挙までの政策実行で支持を得て議会の多数派を維持できるかどうかが、トランプ党の行方に影響を与えることになる。