【ワシントン=坂本一之】11月の米大統領選から撤退した民主党のバイデン大統領は24日、ホワイトハウスの執務室から国民に向けて演説する。ホワイトハウスによると、バイデン氏は選挙戦からの撤退に関し「新しい世代にバトンを渡すことが最善の道だと決断した」と説明する。
バイデン氏は世代交代について「米国を団結させる最善の方法だ」とも訴える。
バイデン氏の大統領選撤退を巡っては、共和党のジョンソン下院議長が「大統領の職務も果たせない」と辞任を求めるなど、政権の弱体化を懸念する声もある。バイデン氏は演説を通して大統領としての職務遂行を訴え、11月の大統領選を前に政権のレームダック(死に体)化が進むことを回避する狙いもあるとみられる。
バイデン氏は今年3月に民主党の大統領候補指名を確実にしていたが、共和党のトランプ前大統領と臨んだ6月の討論会で精彩を欠き、高齢不安が再燃。民主党内で大統領選からの撤退を求める声が噴出した。
トランプ氏が自身を標的した銃撃事件を機に共和党の団結を強める中、バイデン氏は異例の撤退に追い込まれた。
再選を目指す現職大統領が選挙戦の途中で出馬辞退に追い込まれるのは、ベトナム戦争の反対運動が起きた1968年のジョンソン大統領以来、56年ぶり。
ハリス氏は24日、中西部インディアナ州での演説で、バイデン氏について「ビジョンを持ったリーダーであり、米市民への深い思いやりを持っている」と述べ、大統領としての功績をたたえた。