【ニューヨーク=本間英士】トランプ米大統領は27日、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの米兵に関する方針策定を国防総省に指示する大統領令に署名した。トランプ氏は第1次政権でトランス当事者の米軍への入隊を原則禁止にしており、今後の入隊も制限される可能性がある。軍における「多様性・公平性・包括性(DEI)」推進の取り組みを廃止する大統領令にも署名した。
米メディアによると、米軍のトランス当事者の数は推計9千~1万4千人とされる。トランプ政権はこれまで、トランス当事者の存在が軍の即応性や部隊の結束を損なうなどと主張してきた。
トランプ氏は27日に南部フロリダ州で開かれた共和党下院議員団との会合で、「世界最強の戦闘力を確実なものにするため、米軍からトランスジェンダーの思想を徹底的に排除する」と述べた。
近年の米国では政権交代ごとにトランスジェンダーへの対応が大幅に変わってきた。オバマ政権が米軍のトランス当事者に対し門戸を開いた後、トランプ氏は第1次政権で新規入隊の原則禁止を指示。その後のバイデン政権はトランプ氏の方針を覆し、入隊を認めた。
また、トランプ氏は新型コロナウイルスのワクチン接種を拒否したことで除隊させられた軍人の復職を認める大統領令も出した。接種は21年8月、全軍人を対象に義務化されたが、23年1月には撤廃。米CBSテレビによると、約8200人の軍人が接種拒否を理由に除隊したという。
このほか、イスラエルの防空システム「アイアンドーム」の米国版の構築を求める大統領令にも署名した。