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ハリス氏の敗因探る民主党 理念先行型の争点設定が不発、バイデン氏を糾弾の声も

産経ニュース 2024年11月7日 8時53分

【ワシントン=大内清】5日の米大統領選で、共和党候補のトランプ前大統領(78)が選挙人の獲得数だけでなく総得票数でも民主党候補のハリス副大統領(60)を大きく上回ったことに同党では衝撃が広がった。争点設定やメッセージの発信手段などさまざまな角度からの敗因分析が始まる一方、米メディアによれば、選挙戦から撤退した7月まで再選にこだわったバイデン大統領(81)の責任を問う声も高まりつつある。

マイノリティーの支持揺らぐ

各種出口調査によると、ハリス氏は女性票では2020年前回選のバイデン氏をやや上回るか同程度を獲得したものの、男性票は数ポイント下落。黒人やヒスパニック(中南米系)、アジア系の得票は軒並み低下した。

もともと民主党は高学歴でリベラルな白人や、人種的マイノリティー(少数派)を支持基盤としてきた。しかし今回はそれが盤石ではないことが露呈した格好だ。

たとえば長年、民主党の地盤とされてきた東部ニュージャージー州の場合、前回選ではバイデン氏がトランプ氏に得票率で約16ポイント差をつけて勝利したが、今回はわずか約5ポイント差に縮んだ。民主党の大票田である西部カリフォルニア州でも、前回選では約29ポイント差あったリードが今回は開票率58%時点で約17ポイント差にとどまっている。

「勇気ある決断」一転

ハリス氏は今回の選挙で、民主主義の価値を守ることや、トランプ1期目政権で進んだ司法の保守化で脅かされる人工妊娠中絶の権利を保護することを主要争点に据えた。出口調査では「民主主義」を最も重視するとした人が「経済」を上回り、一定の成果もみられた。

ただ、選挙戦ではトランプ氏も「不法移民による不正投票で選挙の信頼性が損なわれている」などと主張しており、「民主主義」を最重要争点に挙げた人の中にはトランプ氏支持者も多かったと考えられる。ハリス陣営による理念先行型の争点設定は、全体としては不発に終わったといえる。

こうした中、CNNテレビによると、ハリス氏の陣営関係者には「バイデン氏が早期に選挙戦から撤退していれば、ハリス氏の政策や人柄をもっと有権者に浸透させられた」との恨み節があるという。これまでバイデン氏の撤退表明は民主党内で「勇気ある決断」と称賛されてきたが、現在は火種となっている。

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