【ワシントン=塩原永久】トランプ次期米大統領は2日、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収を「大統領として阻止する」と改めて表明した。自身の交流サイト(SNS)に「かつて偉大で強かったUSスチールが、外国企業に、今回の場合は日本製鉄に買収されることに全面的に反対する」と投稿した。
トランプ氏は「買収者よ、気をつけろ」とも投稿。国内製造業の復活を掲げる立場から、米国企業を守るとの姿勢を改めて示した。
また、「税制優遇や関税により、USスチールを再び偉大で強くする。すぐにそうなる」と指摘し、外国企業による買収ではなく、大統領として実施する政策で、USスチールの復興を後押しする意向を強調した。
日鉄によるUSスチール買収計画を巡っては、大統領選の期間中、共和党のトランプ氏が反対を表明。民主党のハリス副大統領も慎重姿勢を示していた。選挙戦で労働者層の支持獲得が問われたこともあり、買収計画が政治問題化していた。
現在、対米外国投資委員会(CFIUS)が国家安全保障上のリスクがないかを含め審査している。期限は12月下旬となっており、トランプ氏は今回の投稿を通じ、自身が来年1月に就任する前に、現政権の下での審査で買収が承認されてしまわないよう圧力をかける思惑もあるとみられる。