【ワシントン=坂本一之】トランプ米大統領は1月30日、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を2月1日から課す意向を改めて表明した。ホワイトハウスで記者団に述べた。また、中国やロシアなどの新興国で作るBRICSが、米ドル以外の通貨体制を推し進める動きをみせていることに反発し、BRICSには100%の関税を課すと警告した。
トランプ氏は記者団に対し、カナダ、メキシコ産品への税率を段階的に引き上げていく可能性があると示唆した。
両国に対する関税措置を導入する理由として、両国から流入する不法移民や合成麻薬「フェンタニル」への対応が不十分だと指摘。両国との貿易で米国が「非常に大きな赤字を抱えている」と不満を表明し、是正する姿勢を強調した。
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、2023年に米国のメキシコに対する貿易赤字は約1600億ドル(約24兆6500億円)で、中国に次ぐ2番目の規模。カナダに対する赤字額は約750億ドルだった。
トランプ政権は両国に課す関税の詳細を明らかにしていない。一部品目を適用除外とする可能性もある。トランプ氏は、両国からの石油に関税を課すかどうかは、「恐らく(1月30日の)今晩中に決める」と述べた。
トランプ氏が25%の関税導入を正式決定した場合、メキシコとカナダは報復関税を実施し、対抗する構えをみせている。メキシコには多数の日本の自動車関連企業などが生産拠点を持っており、事業戦略の再構築を迫られる恐れもある。
トランプ氏はBRICSには、米ドルを基軸とする通貨体制を支持するよう要求している。