【ワシントン=大内清】トランプ米大統領は3日、ロシアの侵略を受けるウクライナに対し、米国がこれまでに供与した軍事・経済支援などの見返りに、同国産のレアアース(希土類)を米国に提供するよう求めていると明らかにした。ウクライナが戦線維持に必要とする軍事支援を材料に経済権益を確保する狙いとみられ、トランプ氏が主張する早期停戦に向けた協議に影響する可能性もある。
トランプ氏はホワイトハウスでの記者会見で、バイデン前大統領は「(ウクライナに)カネを渡していただけだった」と批判した上で、「ウクライナには、彼らがとても価値のあるレアアースを持っていると伝えている。われわれには(これまでの支援への)担保が必要だ」と強調。ウクライナ政府も「それを望んでいる」と主張した。
ウクライナは世界有数の鉱物資源埋蔵量を誇り、チタンやリチウム、ベリリウム、ウランなど多数の希土類の主要供給国となる潜在性が指摘される。
ロシアがウクライナに全面侵攻した2022年2月以降、米議会はウクライナ支援関連予算として計約1750億ドル(約27兆円)を承認。米国防総省によると、このうち安全保障関連の支援は24年末時点で約650億ドルを占める。バイデン前政権は、ウクライナに供与する武器弾薬の大部分は米国で製造されており、米国内の雇用にもつながっているとしていた。
これに対しトランプ氏は、ウクライナ支援継続に懐疑的な立場。早期停戦に向けた関係各国の交渉を主張し、プーチン露大統領との会談にも意欲を示している。一方で、性急な停戦は露軍によるウクライナ領土の一部占領を固定化させるとの懸念も指摘される。
トランプ氏は会見で、北大西洋条約機構(NATO)に加盟する欧州諸国がウクライナ支援で公平な負担をしていないとの不満も改めて強調。「米国と(ロシア)の間には大西洋があるが、欧州にはない」とし、欧州がより主体的に対処すべきだとの認識を示した。