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共和、米大統領選でハリス氏の「国境失策」に照準 リスクは「トランプ節」

産経ニュース 2024年8月3日 10時24分

【ワシントン=大内清】11月の米大統領選に出馬する民主党候補が2日、ハリス副大統領(59)に確定した。大統領選に向け、共和党のトランプ前大統領(78)と副大統領候補のバンス上院議員(40)の陣営は、ハリス氏をメキシコ国境から流入する不法移民問題の元凶だと位置付けて攻め立てる構えだ。一方で、トランプ氏がハリス氏の人種的バックグラウンドについて事実に基づかない発言を繰り返していることなどが足かせになっているとの見方も強い。

「失敗した国境のツァーリ」。トランプ陣営は、帝政ロシア皇帝になぞらえハリス氏をこう呼ぶ。国境管理に全権を持ちながら責務を果たせなかった人物との意味だ。

ハリス氏は、バイデン政権発足当初から不法移民の供給源である中南米地域との外交に関与。治安悪化や失業問題、政治腐敗といった域内の「根本原因」を是正することで移民の発生そのものを抑えることを目指した。

しかし移民増加に歯止めはかからず、昨年にはメキシコ国境を渡って米国へ不法入国した約250万人が拘束された。不法移民を「侵略者」「米国の血を汚す人々」(トランプ氏)などと呼ぶ共和党はこれを追及することで、まだ投票態度を決めていない層にハリス氏の実務能力への疑念を植え付けたい考えだ。

ただ、こうした戦術をトランプ氏自身が阻害している面もある。

同氏はこのところ、黒人でジャマイカ系の父とインド系の母を持つハリス氏が「インド系だと言っていたのに、いきなり黒人になった」と主張。交流サイト(SNS)でも同様の投稿を繰り返しハリス氏の出自をやり玉にあげるのに躍起だ。虚偽を含む中傷や挑発で得意の「泥仕合」に持ち込む狙いとみられる。

だが、ハリス氏は正面から取り合っておらず、現在のところは「トランプ節」が上滑りしている。陣営には、トランプ氏が不規則な発言を繰り返すことへの危惧もあると指摘される。

バンス氏を巡っても、ハリス氏を「子供がおらずネコに囲まれて暮らすみじめな女性」のようだと揶揄(やゆ)した過去の発言への反発が収まっていない。陣営が狙う不法移民問題での攻勢は、まだ十分な効果をあげていない状況だ。

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