米大統領選で、トランプ前大統領から副大統領候補に指名されたJ・D・バンス上院議員は、アジア重視の戦略を主張してきた。4月には米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿で、ウクライナへのミサイル支援に異議を唱え、台湾へ供与を急ぐよう求めている。
バンス氏の寄稿は「ウクライナ(支援)は合算できない」という表題で、バイデン政権のウクライナ軍事支援を批判した。地対空ミサイルシステム「パトリオット」の供与について、米国ではウクライナの要請に製造が追い付かない状況だと指摘した。そのうえで、「中国が台湾に狙いを定めたら、パトリオットミサイルシステムは台湾防衛で決定的に重要となる。米国は台湾に9億ドル(約1400億円)相当のパトリオットミサイルを送ると約束しながら、供与は非常に遅れている。ウクライナ戦争のせいで不足したことが一因だ」と主張した。
寄稿はまた、ウクライナ軍事支援は米国に最も大きな負担がのしかかっていると不満を示し、欧州が支援を担うべきだと訴えた。
バンス氏は15日、指名を受けた後に米FOXニュースに出演し、米国にとって中国は「最大の脅威」だと位置付けた。ロシアとウクライナの戦争を早く終結させれば、「真の問題である中国に集中できる」とも述べた。(三井美奈)