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カナダ人も怒り心頭「裏切られた」 トランプ関税延期に安堵も「言いがかり」だと不満

産経ニュース 2025年2月4日 17時10分

【ニューヨーク=本間英士】トランプ米大統領がカナダ、メキシコ両国からの輸入品に対する25%の関税発動を1カ月延期すると決めたことを受け、両国では3日、安堵(あんど)の声がもれた。だが、一連の関税政策は長年の友好国であるカナダの人々にとって「言いがかり」や「裏切り」にも映り、強い不満がくすぶる。

「多くのカナダ人とメキシコ人の生活は、今やトランプ氏の気まぐれに左右されている。しかし、とりあえずはほっと一息つけた」

カナダ紙グローブ・アンド・メール(電子版)は3日、関税発動の延期を受けてこう報じた。

トランプ氏から圧力を受けた両国のうち、より強い不満を表明したのはカナダだ。トランプ氏は米国が抱える貿易赤字の是正を重視しているが、米国の昨年の貿易赤字の上位を占める中国とメキシコに対し、カナダによる貿易赤字額は比較的少ないためだ。

トランプ氏が関税発動の理由について、合成麻薬「フェンタニル」の米国流入を阻止するためのカナダ側の対策不備を挙げる点にも不満が募る。米CNNテレビ(同)によると、24会計年度に国境で押収されたフェンタニルのうち、メキシコ国境での押収は約96・6%を占めたのに対し、カナダ国境の押収分は約0・2%だった。

■あくまで「一時的な勝利」

カナダ各地の小売店では酒類をはじめとした米国製品をボイコットする動きが続出。東部オンタリオ州のフォード首相は3日、実業家のイーロン・マスク氏が率いる米スペースXの衛星通信網「スターリンク」との契約を破棄すると発表したが、関税発動の延期によりこの決定も凍結された。

米ブルームバーグ通信は「温厚なカナダ人も怒り心頭」と表現。米国を「同盟国以上の存在」と考えるカナダの人々にとって、一連のトランプ氏の行動は「裏切りに等しい」と評した。

一方、カナダよりも数時間早く関税の延期を取り付けたメキシコのシェインバウム大統領について、ロイター通信は「トランプ氏をうまく扱い、早くも称賛を浴びている」と報じた。

ロイターは専門家の話として、今回の決定はあくまで「一時的な勝利」であり、今後の成否はシェインバウム氏が今後1カ月の間に「安全保障などの対策で成果を出せるかどうかにかかっている」とした。

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