【ワシントン=大内清】トランプ米政権は28日、連邦政府の予算のうち、対外援助や国際機関への拠出金、国内の各種補助金などの支出を凍結すると発表した。予算内容を精査し、トランプ大統領の方針に反する政策を洗い出すことが目的。バイデン前政権が進めた気候変動対策や「多様性・公平性・包括性(DEI)」の実現に向けた取り組みなどを廃止し、大規模な歳出削減を図るとしている。
ロイター通信によると、首都ワシントンの連邦地裁は28日、民間団体からの訴えを受けて2月3日に法廷で審理を行うとし、それまでトランプ政権は支出を凍結しないよう命じた。
ホワイトハウスの行政管理予算局(OMB)は27日夜、すべての連邦機関に宛てた文書で、連邦予算の3割超は補助金や融資で占められるとし、それらの執行を凍結するよう指示。トランプ氏の方針に反する支出がないか2月10日までに報告するよう求めた。凍結の期間や総額は明らかにしていない。
トランプ氏の腹心であのミラー大統領次席補佐官(政策担当)は28日、CNNテレビに「過激なリベラル派が支配的な官僚機構による予算執行を変えるのに必要な措置だ」と語った。
28日に政権発足後初の記者会見を行ったレビット大統領報道官は「社会保障年金やメディケア(高齢者向け医療保険)などの直接的な給付には影響しない」と説明。政権の方針に反する支出の例として、トランプ氏が20日の大統領令で脱退を宣言した世界保健機関(WHO)への拠出金や、パレスチナ自治区ガザ地区への人道支援などを挙げた。
米メディアによると、低所得者向け医療保険メディケイドの利用者向けサイトが28日に全米でアクセスできなくなるなど混乱が報告されている。さまざまな慈善活動を行う非政府組織(NGO)や自治体への補助金なども凍結対象となっており、今後は広範な影響が出る可能性がある。
連邦予算は議会の議決を経たもので、政権の一存で凍結したり執行を停止したりするのは違法との指摘もある。レビット氏は、決定は大統領の正当な権限だとの認識を示した。