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米大統領選討論会、トランプ氏ウクライナ支援明言せず ハリス氏アフガン撤収の意義強調

産経ニュース 2024年9月11日 19時41分

【フィラデルフィア=坂本一之】11月の米大統領選に向けヤマ場となったテレビ討論会は、有権者の投票行動に直接の影響がある経済や不法移民問題などに加え、外交・安全保障でも激しい論戦となった。民主党候補のハリス副大統領(59)と共和党候補のトランプ前大統領(78)の間で意見の一致はみられず、党派対立の深さが改めて浮き彫りになった。

関心高い「経済」で両者アピール

有権者の関心が最も高い「経済・物価高」では、ハリス氏が「中間層と労働者を引き上げるための計画を持っているのは私だけだ」とアピール。「AI(人工知能)や量子コンピューターの競争に勝つために投資に力を入れる」と訴えた。

トランプ氏は大統領在任中に「偉大な経済を築いた」とし、その再現を約束。新型コロナウイルス禍への対応など経済運営能力の高さを主張し、減税も掲げた。世論調査では物価高への不満などから、現政権の副大統領であるハリス氏よりも、トランプ氏の経済手腕に期待する結果もある。互いに相手を「(具体的な)計画がない」と非難する場面もあった。

不法移民問題では、厳格な国境管理を掲げるトランプ氏が攻勢に出た。トランプ氏は、バイデン大統領やハリス氏が「何百万人もの犯罪者やテロリスト、麻薬の売人たちの入国を許した」と主張し、政策転換の必要性を訴えた。

元検事のハリス氏は、「私は銃や麻薬、人身売買の犯罪組織を起訴してきた」と反論。国境警備の強化などを図る法案の成立をトランプ氏が邪魔したと批判した。

各国が注目する外交・安保政策でも両者は対立。イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの戦闘に関し、ハリス氏は「イスラエルには自衛の権利がある」としつつ、「この戦争はすぐに終わらせなければならない」と述べ、停戦と人質解放の実現を訴えた。これに対し、トランプ氏は「私が大統領ならそもそも戦闘は起きなかった」と主張。「ハリス氏が大統領になればイスラエルは2年以内に消滅する」と持論を展開した。

外交・安保でも深い溝

バイデン政権が2021年8月にアフガニスタンから駐留米軍を撤収させたことには、ハリス氏が「1日当たり3億ドル(約420億円)」の税金投入が回避されたと主張し、「終わりなき戦争」を終結させた意義を強調した。

トランプ氏は米軍撤収を「米史上、最大の恥だ」と非難。「だからロシアはウクライナを攻撃した」と述べたが、ウクライナへの支援は明言しなかった。その上で、自分なら露・ウクライナ両国の首脳を引き合わせて戦争を終結させられると主張した。これに対し、ハリス氏はウクライナの独立が維持されているのはバイデン政権による武器供与の成果だとし、「トランプ氏が大統領なら、プーチン(露大統領)は今ごろキーウに座っている」と指摘した。

一方、ハリス氏が、外遊で会った「世界の指導者たちはトランプのことを笑っている」と述べると、トランプ氏はハンガリーのオルバン首相から「中国や北朝鮮、ロシアが(トランプ氏を)恐れている」と言われたと反論し、強い指導者像をアピールした。

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