【ワシントン=坂本一之、ニューヨーク=本間英士】トランプ米大統領は3日、メキシコとカナダの両首脳とそれぞれ協議し、4日に予定していた両国からの輸入品に対する25%の関税発動を1カ月延期すると発表した。カナダとメキシコはトランプ氏の要求を受けて国境警備の強化を約束して関税発動を回避し、交渉継続へ1カ月の猶予を得た。トランプ氏は3日、中国側と「24時間以内」に協議する見通しだとも明らかにした。
トランプ氏とメキシコのシェインバウム大統領は3日午前、関税措置に関して協議。メキシコ側が米国との国境周辺に治安要員1万人を即座に派遣し、合成麻薬「フェンタニル」や不法移民の米国流入の阻止に向けた国境管理を強化することで合意した。関税措置が停止される1カ月間を使って、ルビオ国務長官やベセント財務長官らがメキシコ側と交渉を行う。
一方、トランプ氏はカナダのトルドー首相と3日の午前と午後に計2回協議。トルドー氏はフェンタニル対策責任者の任命や犯罪組織への対策強化などを実施すると伝えた。トランプ氏は「カナダとの間で経済分野の取引が成立するかを見極める」として関税発動の延期を決めた。
トランプ氏は3日、メキシコとカナダへの関税発動を3月4日に延期する大統領令を出した。両国の国境警備に不備があった場合は、すぐに関税を発動するとしている。
関税強化を巡りトランプ氏は今月1日、フェンタニルと不法移民の流入阻止や貿易赤字の是正を求め、4日からメキシコとカナダに25%の関税、中国に10%の追加関税を課す大統領令を出した。
中国は追加関税を「世界貿易機関(WTO)のルールに反している」と批判し、WTOに提訴する方針を表明している。トランプ氏は中国との協議で、関税や中国の影響力を問題視する中米のパナマ運河などについて話し合うとみられる。