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ガザ停戦協議で米など包括提案「停戦、視界に」 イスラエル、ハマスはなお警戒

産経ニュース 2024年8月17日 18時35分

【ワシントン=大内清、カイロ=佐藤貴生】パレスチナ自治区ガザの停戦を巡る協議で仲介役の米国、エジプト、カタールの3カ国は16日、共同声明を出し、イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの溝を埋める提案を行ったと明らかにした。18日からの週内にも関係各勢力が交渉担当者をエジプトの首都カイロに再び集め、協議妥結を目指すとしている。

バイデン米大統領は16日、エジプトのシーシー大統領、カタールのタミム首長とそれぞれ電話会談した。バイデン氏は共同声明とは別に声明を出し、16日の「包括的な提案」によって停戦実現が「視界に入った」とし、「域内の何者も(停戦協議の)プロセスを阻む行動を取るべきでない」と警告した。

警告には、国内でハマス最高指導者が暗殺されたイランが、報復としてイスラエルへの攻撃をちらつかせていることを牽制(けんせい)する意味合いがある。同国のネタニヤフ連立政権に参加する極右政党「ユダヤの力」党首のベングビール国家治安相が最近、東エルサレムにあるイスラム教とユダヤ教の聖地を訪問し、パレスチナ側の心理を逆なでする挑発行動を取ったことなどを批判する思惑もありそうだ。

ブリンケン米国務長官はイスラエルを訪問し、19日にネタニヤフ首相と会談する予定。イスラエルの防衛に対する米国の関与を改めて示すとともに、ガザ攻撃を継続するイスラエルに自制を促す狙いがある。

今回の停戦協議は15日に始まった。交渉の土台になっている停戦案はバイデン氏が5月末に発表したもので、人質解放を含む3段階からなる。

交渉の具体的な内容は不明だが、ハマス幹部は16日、米政府は「虚偽の前向きな雰囲気」を作り出そうとしていると述べた。イスラエル首相府はハマスの停戦案受諾に向けて圧力をかけるよう仲介国に求めた。イスラエル軍はガザで爆撃を継続し、16日にはガザ中部と南部の一部地域に避難勧告を出した。

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