米ニューヨーク州の男性が保護し、SNSで人気を集めていた野生のリスを州当局が押収し、殺処分した。州知事が民主党員のため、大統領選で共和党候補のトランプ前大統領を支援する実業家イーロン・マスク氏は「トランプ大統領ならリスを救う」と訴え、ハリス副大統領に対する最終盤の攻撃材料とした。一方、トランプ氏の声明を装うフェイク文書も流れた。
フォロワー50万超
米メディアによると、東部コネチカット州に住んでいたマーク・ロンゴさんは7年前、車にはねられて母親を失った子リスを保護。8カ月育てて森に放したが、子リスはけがをして戻ってきた。
野生に返すのは無理だと判断したロンゴさんは、このリスに「ピーナツ」と名前を付けて飼育。愛らしい姿をインスタグラムに投稿すると、フォロワーは50万を超えた。
ロンゴさんは昨年、ニューヨーク州パインシティーに移住。自宅を「ピーナツ・フリ―ダム・ファーム」と名付けた動物保護施設にし、馬や牛なども飼育している。無許可で野生動物を飼うことは禁止されているため、ピーナツを教育用動物として認定してもらうため準備していた。
ところが、先月30日に州環境保全局の職員たちが施設に踏み込んできた。5時間にわたって家宅捜索し、ピーナツとアライグマの「フレッド」を押収した。「複数の通報があったため調査した」という。
今月1日、環境保全局はピーナツとフレッドを殺処分したと明らかにした。CBSテレビによると、環境保全局は「リスが職員をかんだため、狂犬病検査のため2匹を安楽死させた」と説明している。
ロンゴさんはインスタグラムの動画で涙ながらにピーナツの死を報告。「最愛の友よ安らかに眠れ。人生で最高の7年間をありがとう」と書き込んだ。州を提訴する意向を示している。
トランプ氏装うフェイク文書
これを受けてマスク氏は「政府が家に押し入ってペットを殺すことは許されない。めちゃくちゃだ」「民主党はなぜそんなに残酷なのか」「トランプ大統領はリスを救うだろう」などとX(旧ツイッター)に相次いで投稿した。
ニューヨーク州当局への批判が高まり、通報者探しも行われる中、トランプ氏の声明を装ったフェイク文書がSNSに流れた。
「ニューヨーク州はひどい知事の下で、不法移民を規制せずに無実のリスを排除した。ピーナツがメキシコから来たと言っていれば厚遇されただろう」と、トランプ氏が言いそうなことが書いてあったため、引っ掛かって報道したネットメディアもあった。
本物のトランプ氏は今のところ、ピーナツの死についてコメントしていない。