米国史上「最も接戦」と評されている大統領選の投票が5日朝(日本時間同日午後8時)、各州で順次始まった。票差がわずかの場合、州によっては数え直す仕組みがあるなど集計方法が独特で、2000年の選挙では法廷闘争となって勝者確定まで36日を要した。今回も、少なくとも数日はかかるとの見方が強まっている。
大抵は1日程度
過去の多くの大統領選では、投開票日から1日程度で当落が判明している。
2004年、共和党候補のブッシュ氏(子)と民主党候補のケリー氏の争いとなった選挙では、当落を決する天王山となったオハイオ州で、ケリー氏が投開票翌日に敗北を早々に認めた。同州の集計結果はその時点では未決だったが、10万票以上の差がついており、ケリー氏側が今後も逆転は不可能と判断。これにより、ブッシュ氏の選挙人獲得数が過半数である270人を超え、ブッシュ氏当選が確定した。
ブッシュ氏と民主党候補のゴア氏が対決した、1つ前の2000年大統領選は、大票田のフロリダ州で大接戦に。最初の集計で得票率の差が0.5ポイント以内だったため、州法の規定に基づいて再集計となり、劣勢だったゴア氏が手作業での実施を求めて提訴。連邦最高裁が判断するという異例の展開をたどった。
ゴア氏が敗北を認めたのは、投開票日(11月7日)から約5週間後の12月13日。同州における両者の最終的な票差はわずか537票だった。
米大統領選では同州のほか、接戦7州の1つのペンシルベニア州などで、得票率差が0.5ポイント以内の場合に再集計になる。ミシガン州では2000票差以内だと対象だ。また、一定条件下で候補者からの要求があった場合には再集計となったり、票差に関係なく要求可能な州もある。
郵便投票が拍車
開封や本人確認などの作業に手間がかかる郵便投票の利用増も、遅れに拍車をかける。
郵便投票を含む期日前投票は、前回の2020年選挙では、新型コロナウイルス禍も背景に過去最多の1億人超が利用。開票作業に時間を要し、民主党候補のバイデン氏が勝利宣言したのは投開票日の4日後だった。
NBCニュースによると、今回選挙の期日前投票は全米で約7600万人(今月3日時点)が実施。過去2番目に多かった2016年大統領選(約4700万人)はすでに上回っている。消印が5日までに押されていれば、投開票日後に到着した票を有効とする州もあり、当落判明がさらに遅れる可能性がある。