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米欧紙、バイデン氏に相次ぎ大統領選挙戦からの撤退要求「新候補を」「年長者の英知示せ」

産経ニュース 2024年7月1日 10時45分

6月27日に行われた米大統領選のテレビ討論会後、有力紙ニューヨーク・タイムズがバイデン氏の衰えを理由に選挙戦からの撤退を求めたのを機に、米欧メディアが相次いで撤退要求を打ち出した。民主党の「候補者差し替え」論が公然と語られるようになった。

ニューヨーク・タイムズ(電子版)社説は28日、「バイデン氏は4年前の彼ではない」と明記した。同紙は2020年の大統領選でバイデン氏を支持したが、今年11月の選挙では共和党のトランプ前大統領に勝てる新候補が必要だと訴えた。

ワシントン・ポスト紙では、名物コラムニストのデビッド・イグナチウス氏が「バイデン氏が再選出馬すべきでないことは、約1年前から明らかだった」として、民主党の新候補者選びを求めた。バイデン氏が勝てると思い込み、ジル夫人や側近が忠実に支えてきたことが決断を遠ざけたと振り返り、「今こそ正直になる義務がある」と明記した。「終えることは、新しい始まりでもある。それこそバイデン氏が、年長者の英知を持って国に与えられるものだ」と決断を迫った。イグナチウス氏はバイデン氏に近いことで知られる。

保守系紙のウォールストリート・ジャーナル(同)も28日に社説で、討論会のバイデン氏は弱々しく、「国民の誰も、彼がプーチン露大統領や習近平・中国国家主席と対決することを望まないだろう」と論じた。「民主党にとっての苦い真実は、バイデン氏が公認候補になれば、トランプ氏の資質は問題にならないかもしれないということだ」として、民主党の側近は、なぜバイデン氏を立候補させるのかと問いかけた。

「注目、追い風にできる」と英誌

英誌エコノミスト(同)も28日、「バイデン氏は別の候補に道を譲るべきだ」と主張した。「仮にバイデン氏が11月の大統領選で勝てたとしても、4年間の任期を果たせるかは疑問だ」とした。新たな候補になりうる人物として、ペンシルベニア州のジョシュ・シャピロ知事、ジョージア州選出のラファエル・ウォーノック上院議員など数人の民主党政治家を列記。バイデン氏自身が新たな候補者選びを提唱すれば、誰も「裏切った」と感じずに意欲を示せると決断を促した。選挙の日程は迫っているが、「全米メディアの注目が追い風」となり、トランプ氏の注目度を下げる効果があると強調した。

英紙フィナンシャル・タイムズ(同)も29日に社説で、民主党が候補者選びをやり直せば、「うまくいけば党内の民主主義を再確認し、投票者の意欲をかきたてることができる」と論じた。党内には能力ある若手がおり、トランプ氏に対抗できる候補者擁立への時間はまだあると訴えた。バイデン氏に対し、「いま選挙戦から撤退することは、威厳ある政治家にふさわしい行為になる。米民主主義を守るという目的を達成するため、最良の道となるだろう」と呼びかけた。

バイデン氏は、選挙戦を続ける考えを示しており、民主党幹部は「撤退論」の火消しに懸命となっている。(三井美奈)

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