5日の米大統領選を前に、バイデン大統領(81)が共和党候補であるトランプ前大統領(78)の支持者を「ごみ」と発言し、波紋が広がっている。バイデン氏側は火消しに躍起だが、トランプ氏は民主党候補のハリス副大統領(60)を批判する好機と捉え、反発を強める。選挙戦最終盤で両候補の支持が拮抗する中、バイデン氏の発言が票の行方に影響する可能性がある。
バイデン氏は10月29日、ハリス陣営の電話会議で、トランプ氏の支持者を「ごみ」と表現した。
米メディアによると、バイデン氏の発言は、27日に開かれたトランプ氏の集会で、コメディアンがカリブ海の米自治領プエルトリコを「ごみの浮島」と発言したことに反発する文脈で飛び出した。バイデン氏は「ごみは彼(トランプ氏)の支持者だけだ」と述べ、「ラテン系住民を悪者扱いするのは不謹慎で非米国的だ」と批判した。
トランプ氏の支持者は即座に反発。トランプ氏自身も遊説先の中西部ウィスコンシン州で、「ごみ」発言への皮肉として、「トランプ2024」と書かれた清掃車両に乗り込み、「このトラックはカマラ(ハリス氏)とバイデンに敬意を表して作られた」と揶揄した。
バイデン氏はプエルトリコに対する憎悪に満ちた暴言を「ごみ」と表現したと釈明。ハリス氏は「私に投票するかどうかにかかわらず、全ての米国民のための大統領になるつもりだ」と述べ、バイデン氏の発言と距離を置く姿勢を示した。
バイデン氏の発言を巡っては、ホワイトハウスの報道室が該当箇所の表現を和らげるよう発言録を改竄していた疑惑が報じられるなど、問題は尾を引いている。
選挙戦は最終盤を迎えているが、勝者は見通せない。米大手調査会社ラスムセン社が10月30日公表した情勢調査では、48%がトランプ氏、46%がハリス氏に投票すると回答した。米紙ニューヨーク・タイムズが11月1日に公表した全米支持率はハリス氏が49%、トランプ氏が48%となるなど、調査によって差異はあるが、ほぼ互角の争いが続いている。(岡田美月)