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「核開発競争激化の世界に警告」 米メディア、被団協にノーベル平和賞で相次ぎ報道

産経ニュース 2024年10月11日 21時3分

【ワシントン=渡辺浩生】日本原水爆被害者団体協議会(被団協)に2024年のノーベル平和賞が授与されることについて、原爆を投下した当事国、米国のメディアは11日、「広島、長崎の被爆者の草の根運動による核兵器なき世界実現への努力(の結果だ)」(米紙ワシントン・ポスト)と評し相次ぎ速報。中露など権威主義国家による核開発競争が激化する世界への警告との見方も示した。

ウォールストリート・ジャーナル紙は「世界の核兵器保有国が兵器の近代化と改良を進め、新たな国々が核兵器保有に取り組んでいるとき」に受賞が決まったと伝え、「ロシアのプーチン大統領は、西側がウクライナへの軍事支援を強化すれば核兵器を使用するとの可能性を示してきた」とも指摘した。

被団協への平和賞授与は、核保有大国の中露に加え、核開発を加速させる北朝鮮やイランなど権威主義勢力による「核の威嚇」の危険性へ警鐘を鳴らすとの評価を伝えたものといえる。

米国では、1945年に最初の原爆を開発した「原爆の父」の苦悩を描いた映画「オッペンハイマー」が昨年大ヒットし、今年3月に第96回アカデミー賞で計7部門を受賞。ただし、原爆投下は、当時の日本にポツダム宣言受諾の最終決断を迫り、米軍の本土上陸作戦を回避させて「数百万人の命を救った」との認識で一貫している。

一方で、米国は東西冷戦期から核兵器の配備による抑止力を同盟諸国に広げる拡大抑止戦略を維持する。米国国内の核実験場周辺で被爆した住民や作業員、家族への健康被害に補償する「被爆補償法」が今年期限を迎え、米議会では補償を延長する法案が超党派で提出された。同法案への関心を高める可能性もあるとみられる。

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