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中東危機に揺れるアラブ系の街 民主党あきらめ、「戦争終結」うたうトランプ氏投票の人も

産経ニュース 2024年11月6日 10時29分

米民主党の長年の支持基盤であるアラブ系住民が人口の5割を占める中西部ミシガン州デトロイト郊外ディアボーン。5日の米大統領選に合わせて投票所を訪ねると、パレスチナ自治区ガザやレバノンでの戦闘終結を願う気持ちから、イスラエルに武器を支援する民主党政権に見切りをつける動きが広がっていた。

ミシガン州は大統領選の激戦州。アラブ系は2020年の前回選で圧倒的にバイデン大統領を支持したとされるが、今回は街の雰囲気が異なる。

ディアボーン行政センターで投票したカメル・アフメッドさん(31)は、民主党候補のハリス副大統領(60)について、「人柄はよいし、経済政策も悪くない。だけど、ガザやレバノンでの被害拡大が私には一番の問題なんだ」と語り、「支持する候補ではない」と明かした。

ハリス氏はガザ戦闘を巡り、パレスチナ人への同情を示す一方、人質奪還とハマス壊滅を目指すイスラエルの自衛権を支持している。これに反発するアラブ系らは「ハリス氏を見限れ」運動をディアボーンで展開した。

ディアボーンは「全米最大のアラブ系社会」とされ、北米最大のモスクがある。デトロイトからは、車で約15分。自動車王ヘンリーフォードが暮らし、労働者として定住したアラブ系移民が「街の発展を支えた」(ディアボーン市職員)。

行政センターの案内表示は英語とアラビア語を併記。大統領選のために有権者登録した両親に付き添ったウバ・シャビさん(15)は「新移民を受け入れる街の姿勢がうれしい」と話した。両親は共和党候補のトランプ前大統領(78)に投票した。理由は「戦争を終わらせると約束してくれたからだ」という。

トランプ氏はロシアのウクライナ侵略や中東危機の拡大を民主党政権の失政だと批判し、自分なら「すぐに戦争を終わらせる」と吹聴する。4日の最後の選挙集会では、ディアボーン近隣のアラブ系市長2人が「戦争を終わらせるトランプ氏」への投票を呼びかけた。

ただ、トランプ氏は在任中にイスラム圏7カ国からの入国を一時禁止するなど、アラブ系からの評判は必ずしもよくない。

ミシガン大ディアボーン校のジャピシュ・ボラさん(18)は、ガザ攻撃を「人権侵害」と断じる小政党「緑の党」候補のジル・スタイン氏に投票した。ただ、スタイン氏は泡沫(ほうまつ)候補。大統領になる可能性はない。

レバノン出身のジーナ・ジャミさん(31)は「自分の投票が役に立たないのは嫌」とトランプ氏に投票した。「戦争終結の可能性が1%でもあるならかけてみたい」と話す。ジャミさんには今もレバノンで暮らす親族がいる。すがるような思いが伝わってきた。(ディアボーン 平田雄介)

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