【ワシントン=坂本一之】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は29日、金融政策を協議する連邦公開市場委員会(FOMC)で、インフレ鈍化が進まないことなどから主要政策金利の誘導目標を4・25~4・5%に据え置くことを決めた。据え置きは4会合ぶり。20日に就任したトランプ大統領がカナダやメキシコ、中国への関税強化などを掲げており、新たな経済政策の影響も見極めながら慎重に判断を進める。
FRBのパウエル議長は29日の記者会見で、米国経済について「堅調だ」と指摘し、利下げの対応を「急ぐ必要はない」と説明した。
トランプ政権の関税や不法移民、規制などにおける大きな政策変更によって「不確実性が高まっている可能性がある」と述べ、経済への影響を見極める姿勢を強調した。
FRBに対して素早い利下げを求めているトランプ氏が適切な時期にパウエル氏と協議する意向を示していることに関しては「接触はない」と説明した。
FRBは声明で、経済状況に関し「堅調なペースで拡大を続けている」との分析を示し、「失業率は低水準で安定していて、労働市場は底堅い」とした。
インフレ状況については「依然として、やや高止まりしている」と述べ、前回会合の声明にあった「(インフレ)2%目標に向けて進展した」との文言は削除した。
米国の記録的なインフレは2022年半ばのピークから大きく下がり、FRBは24年9月から3会合連続で利下げしていた。一方で、24年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2・9%上昇と伸び率が3カ月連続で拡大した。