【ワシントン=大内清】米大統領選で勝利した共和党のトランプ前大統領(78)は6日、南部フロリダ州ウエストパームビーチに政権移行チームの本部を設置した。閣僚を含む約4000の政治任用ポストの選定を本格化させる。敗れた民主党候補のハリス副大統領(60)は同日、首都ワシントンでの演説で敗北を認め、「トランプ氏に電話で祝意を伝え、平和的な政権移行への協力を申し出た」と語った。
バイデン大統領も6日、トランプ氏に祝意を伝え、政権移行の協議のためにホワイトハウスへ招待した。バイデン氏は7日、国民向けに演説を行う。
2020年の前回選ではトランプ氏が敗北を認めず、「大規模な不正があった」と主張。これを信じた支持者たちによる21年1月の連邦議会襲撃事件につながった。
大統領選は6日も開票が続き、トランプ氏は新たに接戦州の一つ、中西部ミシガン州を制し、同氏の獲得選挙人数が291、ハリス氏が223となった。
ハリス氏は母校ハワード大での演説で「結果は望むものではなかったが、米国の理想の光は輝き続ける」と強調し、「選挙で敗れたらその結果を受け入れるのが民主主義の根本原則だ」と述べた。会場には支持者数千人が集まり、ハリス氏に歓声を送った。
一方、トランプ氏が20年大統領選の敗北を覆すために、公的手続きを妨害したとして起訴された事件を捜査するスミス特別検察官は6日、起訴を取り下げる方向で司法省との協議に入った。米メディアが伝えた。犯罪関与が疑われる人物が大統領在任中は刑事責任の追及は行わないとする司法省の方針に沿った動き。トランプ氏は就任後、自身に恩赦を与える可能性が取り沙汰されている。
スミス氏は、トランプ氏が21年の大統領退任時に持ち出した機密文書の取り扱いを巡っても同氏を起訴したが、フロリダ州連邦地裁のキャノン判事が今年7月に起訴は無効と判断した。米ABCテレビは6日、トランプ氏が同判事を司法長官に起用することを検討していると伝えた。
大統領選と同時実施された連邦議会選で、上院選は共和党が過半数を制したが、下院選では接戦が続いている。