【ワシントン=大内清】トランプ次期米大統領は12日、自身の有力支援者で電気自動車(EV)大手「テスラ」などを経営するイーロン・マスク氏(53)と、共和党の候補者指名争いに参戦したインド系投資家のビベック・ラマスワミー氏(39)の2人を、連邦政府の歳出削減や連邦機関再編を主導する役割に起用すると発表した。
トランプ氏は声明で、マスク氏を「偉大な」と形容し、「私の政権のために政府の官僚機構を解体して過度な規制を撤廃し、無駄な歳出を削減して連邦機関を再編する」と強調。米独立宣言から250年に当たる2026年7月4日までに作業を完了させるとした。第二次大戦中の原爆開発計画になぞらえ、「現代のマンハッタン計画」になる可能性があるとも述べたが、真意は不明だ。
声明はこの計画を、米政府には存在しない「政府効率化省(DOGE)」と呼称している。だが、その役割については「政府外からの助言や指導」を行い、ホワイトハウスや行政管理予算局(OMB)を通じて大規模な構造改革を実施することだと説明しており、マスク氏らの役割は諮問機関的な性質となる可能性が高い。
それでもDOGEとの略称が用いられているのは、マスク氏が後押しする暗号資産(仮想通貨)「DOGE(ドージ)コイン」の知名度や価値を高めるためだとの見方が強い。マスク氏が経営する宇宙企業「スペースX」は、ドージコインで決済した月輸送ミッションを発表している。
トランプ氏は大統領選の選挙戦で、暗号資産の普及や政府備蓄を進める考えを示していた。