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「生まれたときから故郷は戦争」 米国脱出のアフガン人男性 海兵隊員との友情が道開く

産経ニュース 2024年8月30日 18時22分

3年前の米軍撤収は大勢のアフガニスタン人の運命を変えた。米軍関連の通訳などを務め、特別移民ビザ(SIV)を取得して2022年10月に米国に移住したワリカーン・カーン氏(38)は、電話取材に「生まれたときから故郷は戦争だった」とアフガンでの生活を振り返った。

カーン氏は2007年、米軍契約企業に就職。米軍関係の事業スタッフや通訳などを務めた。21年8月、イスラム原理主義勢力タリバンが首都カブールを制圧すると出国を決断し、家族を連れて空港へ向かった。

だが、「空港外で食料も水もない状態で6日間待機した」といい、ゲートの米兵から「米国旅券や永住許可証のない者は通せない」と押し戻された。自宅に引き揚げたものの、友人から「タリバンがお前を探している」と告げられた。

途方に暮れていた際、かつて通訳を担当した元海兵隊員で、米南部テキサス州に住むアルフレッド・クック氏(66)から連絡があり、パキスタン経由での米国入国を勧められた。

一家は陸路パキスタンのイスラマバードへ。米国大使館でSIVを申請し、約2カ月後に取得。その間クック氏は滞在費用や旅費を支援し続けた。「彼の友情がなければ今の私はない」と話す。

カーン氏は現在、西部アリゾナ州フェニックスで妻と長男(10)、長女(9)、二女(2)と暮らす。倉庫会社社員として週6日必死に働き、月1700ドル(約24万6千円)の家賃を払う生活は楽ではないが、戦場だった故郷より「子供の未来に希望が持てる」という。

「約15年間米政府のために働いた」誇りが支えになっているといい、いつか米国籍を取りたいと考えていると話した。(ワシントン 渡辺浩生)

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