【ワシントン=渡辺浩生】米政府高官は5日、ワシントンで9~11日の日程で開催される北大西洋条約機構(NATO)首脳会議について、ロシアの侵略が続くウクライナの将来的な加盟に向けて軍事、政治、財政面で長期的に支援する枠組みを発表し、同国のゼレンスキー大統領も参加すると、記者団に明らかにした。
初日の9日にNATO創設75年を祝う式典を開催。10日は3月にNATOに加盟したスウェーデンを含む32カ国による会議を開く。最終日の11日にはバイデン米大統領が記者会見を行う。
討論会後、民主党内で選挙戦撤退論が高まる中、ウクライナ支援での結束を主導してきたバイデン氏には対外的な不安を払拭する外交的な正念場ともなる。
米政府高官によると、首脳会議でウクライナのNATO加盟に向けた「ブリッジ(橋渡し)プラン」を打ち出す。訓練支援、装備の提供・開発、防衛産業の構築、NATOとの相互運用性強化などを通じ同国軍の進化を支えて加盟に導く。対露抑止力の強化も狙う。
また、露軍のミサイルや無人機攻撃が激化するウクライナの防空態勢の強化策を米国として打ち出す。バイデン氏は11日、ゼレンスキー氏とともに、ウクライナと安全保障協力協定を結んだ国々との会議を開く。
11日には日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドも参加し、インド太平洋地域とNATOとの協力強化を確認する。
高齢不安が広がりバイデン氏の指導力低下を不安視する見方があるが、米政府高官は「バイデン氏が過去3年間でNATOを再活性化し、拡大し、能力を高めたことを首脳たちは知っている」と強調した。