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トランプ氏「経済に強い指導者像」、ブランド浸透し過激発言も奏功 ハリス氏への共感薄く

産経ニュース 2024年11月6日 21時6分

米大統領選で予想を上回る快進撃をみせた共和党候補のトランプ前大統領(78)は、長丁場の選挙戦を通じて、低迷した経済を上向かせることができる指導者という〝ブランド〟を浸透させることに成功した。深刻化する分断の解消や融和的なメッセージを捨て、従来以上に「トランプ流」の過激発言を繰り返したことも、民主党支持層に嫌悪されながらも、自身の支持層を固める役割を果たしたとみられる。

「らしさ」を発揮

トランプ氏は選挙戦で国民の「融和」を訴えた時期もあった。今年7月に起きた自身の暗殺未遂事件の直後だ。しかし、そんな路線はすぐに鳴りをひそめた。

民主党候補が高齢のバイデン大統領(81)からハリス副大統領(60)に代わり、接戦となる中、一段と「トランプ氏らしさ」を前面に押し出した。刑事訴追されたことへの「報復」宣言、「ハイチ人がペットの犬や猫を食べている」という虚偽情報を含む不法移民への強硬姿勢、ハリス氏を「知能が低い」とののしるといった手法だ。

一方で、住宅価格の高騰や都市の荒廃、薬物乱用などの問題は「不法移民に原因がある」と繰り返し、自分が大統領であれば、こうした問題は起きなかったと主張した。不都合な報道は「フェイクニュース」だと断じる姿勢も変わらなかった。

黒人や中南米系の支持獲得

米メディアの出口調査では、トランプ氏が人工妊娠中絶の是非などに関心が強い白人女性の支持を減らす半面、伝統的に民主党支持者が多い黒人やヒスパニック(中南米系)の一部を引きつけることには成功したことが示唆されている。

黒人や中南米系の男性には「強さ」や「男らしさ」を重視する傾向があるとも指摘される。初の女性大統領を目指すハリス氏への共感は薄く、政敵を罵倒するトランプ氏に引きつけられる人が多かった可能性もある。

ハリス氏は、インフレの沈静化や、経済の堅調ぶりを示すデータを訴えることに失敗。人工妊娠中絶問題や、トランプ氏が20年の前回選挙で根拠のない不正主張を展開し、民主的手続きを軽視したことを強調して活路を見いだそうとしたが、大きなうねりにつなげることはできなかった。(ワシントン 大内清)

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