Infoseek 楽天

10日に大統領候補討論会 勝機つかむのは「失政追及」トランプ氏か、「刷新アピール」ハリス氏か

産経ニュース 2024年9月7日 11時52分

【ワシントン=渡辺浩生】米大統領選で共和党候補トランプ前大統領と民主党候補ハリス副大統領との初の直接対決となる討論会が10日夜、最大激戦州の東部ペンシルベニア州フィラデルフィアで開催される。両候補のパフォーマンスは、カギを握る無党派層の選択に影響を与える。天王山を制し、残り2カ月を切った選挙への勝機をつかむのはどちらか。

米政治サイト、リアルクリアポリティクスが集計した直近(8月22日~9月4日)の全米の平均支持率はハリス氏がトランプ氏を1・8ポイント上回る。

しかし大統領選は、各州に割り当てられた選挙人を州内得票数が多かった候補が総取りする。538人のうち270人以上を獲得した候補が勝利するため、接戦7州(アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ノースカロライナ、ネバダ、ペンシルベニア、ウィスコンシン)の行方が勝敗を制する。

中でも選挙人数が19と7州で最多のペンシルベニアは最大の激戦地。2人の支持率は拮抗(きっこう)し、同州有権者の15%がまだ支持候補を決めていない。

元民主党選挙参謀のマイク・ルクス氏は本紙に「討論会でどちらが屈強で国民の困難に寄り添う候補か、指導スタイルを激戦州の有権者は見極めようとしている」と述べ、特にハリス氏にとって重大な機会になると強調した。同氏は同州ピッツバーグに入り、討論会に向けて想定問答の準備に集中している。

討論会の結果で失速したケースも

前回6月の討論会を契機に撤退に追い込まれたバイデン大統領のように、討論会は候補者の資質をさらけ出す。有権者の動向に決定的影響を与えた例も少なくない。

1988年の討論会では、司会者が民主党候補のデュカキス氏に「夫人がレイプされ殺されたら犯人に死刑を望むか」と質問。同氏が「いいえ」と死刑制度反対の持論を語ったが「人間味を欠く」との印象を与え、共和党候補ブッシュ氏の勝利を許す要因となった。

パフォーマンスが未知数なのはハリス氏だ。候補として対面インタビューに応じたのは、副大統領候補ウォルズ・ミネソタ州知事が同席したCNNテレビとの1回のみ。

トランプ氏は物価高や不法移民、混乱を極めたアフガニスタンからの米軍撤収を挙げ「バイデン・ハリス政権の失政」を追及する構え。ハリス氏は現政権を擁護すると同時に若い指導者として刷新をアピールする戦略だが、熾烈(しれつ)な攻撃にさらされる可能性がある。

共和党系世論調査分析家ビル・マッキンダフ氏は「有権者の65%が国の方向は誤りだとし、過半数が現政権を失敗した政権と受け止めるなど民主党には依然として不利な構造がある」と語る。

この記事の関連ニュース