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バイデン政権、クアッド枠組みの維持狙う トランプ氏返り咲きなら後退の懸念

産経ニュース 2024年7月29日 20時58分

【ワシントン=渡辺浩生】29日に行われた日米豪印の協力枠組み「クアッド」外相会合は、バイデン米政権にとり、4カ国の連携強化を改めて図る場となった。11月の米大統領選の結果によっては、多国間枠組みを軽視するトランプ前大統領が返り咲く可能性もある。バイデン政権には、会合を通じてクアッドの連携をさらに深め、枠組みを「不可逆的」なものとする狙いがあった。

クアッドの成果強調

「過去数年の間に、クアッドは野心的かつ実践的な計画を立ち上げ、実行してきた」。ブリンケン米国務長官は会合後の記者会見で、クアッドの成果を強調。今後の連携に期待感を示した。

クアッドは2004年に原型ができたが、17年に「自由で開かれたインド太平洋」推進のため、再活性化で合意された。バイデン政権はクアッドを重視し、枠組みを首脳級に格上げした。

また、バイデン政権は米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」を発足させ、日米韓や日米比との安保協力も推進。複数の枠組みを重層的に活用し、中国への抑止力向上を図った。

バイデン政権には、中国の急速な艦船建造やミサイル配備によって米国の軍事プレゼンスの優位性が揺らいだ状況を補う思惑もあった。中国は27年までに台湾侵攻の準備を整えるとされ、有事に備えた同盟国間の戦略調整は焦眉の急だ。

しかし、米大統領選の結果は、米外交の行方を左右しかねない。民主党の候補指名を確実にしたハリス副大統領はフィリピン、ベトナムなどインド太平洋への外遊を重ねてきた。当選すればバイデン政権の路線を踏襲するとみられる。

「相互主義」強めるトランプ氏

一方、トランプ氏は最近、「台湾はわれわれに防衛費を支払うべきだ」と発言した。安全保障上のコストを同盟国にも「相互主義」で分担させる1期目の姿勢は強まり、クアッドやオーカスの枠組みが後退することを懸念する声もある。

バイデン政権は、米次期政権の行方にかかわらず、クアッドをゆるぎない連携としたい考えだ。一方、米国の同盟・友好諸国には、大統領選の結果によっては、インド太平洋地域への米国の関与をつなぎとめる努力が求められる可能性がある。

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