【ワシントン=塩原永久】米大統領選で勝利した共和党のドナルド・トランプ氏(78)が20日(日本時間21日未明)、第47代大統領に就任する。トランプ氏と、副大統領に就任するJ・D・バンス氏(40)のプロフィルを紹介する。
名物テレビ司会者も経験
トランプ氏は、米東部ニューヨーク市生まれ。ドイツ系で不動産業者の父と、スコットランド移民の母の裕福な家庭に育った。名門ペンシルベニア大ウォートン校で学び、不動産業を引き継いで事業を拡大。全米にホテルチェーンを展開した。
不動産ブームの終焉(しゅうえん)を経て経営が悪化し、数度の破綻を経験。その後はタレントとして活躍し、2000年代に、ビジネスで成功を目指す人の挑戦を扱うテレビ番組司会者として成功。「お前はクビだ!」の名文句とともに一躍有名になった。
16年の大統領選で、共和党の候補選びに参戦。虚実ないまぜの発言や、歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで支持者をひきつけ、本命候補を追い抜き党候補に。
本選では、移民流入を防ぐ「国境に壁を造る」という公約を掲げ、保守層や白人労働者の支持を獲得。優位とされた民主党候補のヒラリー・クリントン元国務長官を下して初当選した。
大統領就任後も交流サイト(SNS)で頻繁に発信し、批判的な報道は「フェイク(偽)ニュースだ」とはねつけた。意見の合わない政権幹部を次々と解任。20年大統領選は接戦でバイデン前大統領に敗れた。
在任中に2度の弾劾訴追を受け、議会襲撃など4事件で起訴。昨年の大統領選のさなかに2度の暗殺未遂に遭ったが、多くの逆風をはね返した。3度結婚し、5人の子供がいる。たばこや酒はやらない。
貧困家庭に育った体験もとにベストセラー
バンス氏は、中西部オハイオ州の出身。貧困家庭に育ち、高校を卒業後、海兵隊に入隊した。除隊後はオハイオ州立大を経て、名門エール大法科大学院を修了した苦労人だ。
自身の体験をベースに報われない白人労働者層の生活を描いた著書「ヒルビリー・エレジー」を出版。中西部から東部の「ラストベルト(さびた工業地帯)」の実態を映し出した本としてベストセラーになった。
大学院修了後は弁護士や投資家として活躍したが、そうした経歴を前面に出さず、貧しい労働者階級の代表として、22年の連邦上院選で初当選した。かつてはトランプ氏を「米国のヒトラー」と呼んだこともあったが、同氏に謝罪して支持を取り付け、当選の原動力にした。
巧みで説得力のある弁舌が持ち味。トランプ大統領の後継者として28年大統領選に名乗り出る可能性も取り沙汰される。
エール大時代の同級生でインド系の妻、ウシャさんとの間に3人の子供がいる。
40歳5カ月での副大統領就任は史上3番目の若さ。1980年代以降に生まれた「ミレニアル世代」では初めてだ。
2021年1月のトランプ氏の支持者らによる連邦議会襲撃を巡り、暴力を働いた者は「当然ながら恩赦されるべきではない」と述べ、トランプ氏の熱烈な支持者から批判された。