【ワシントン=大内清】米大統領選に無所属で出馬を表明後、共和党候補のトランプ前大統領(78)への支持に転じたロバート・ケネディ・ジュニア氏(70)が、トランプ氏が当選すれば公衆衛生分野の連邦機関を統制する権限を「(トランプ氏から)約束された」と明かし、波紋を呼んでいる。反ワクチン論者で知られるケネディ氏が同分野の要職で起用されれば、保健行政の混乱は避けられないとの見方が強い。
ケネディ氏は10月28日、支持者らとのオンライン対話で、厚生省とその管轄下の疾病対策センター(CDC)、食品医薬品局(FDA)、国立衛生研究所(NIH)や、農務省などの機関名を挙げて「これらをコントロールすることが重要」「トランプ氏が私に約束した」と語った。
ケネディ氏は過去に「すべてのワクチンは安全ではなく効果もない」などと発言。今年8月には、2014年にニューヨーク市のセントラルパークに熊の死骸を放置したと〝告白〟するなど数々の奇行で知られる。
ケネディ氏は、民主党のジョン・F・ケネディ元大統領(1963年に暗殺)のおいで、ロバート・ケネディ元司法長官(68年に暗殺)の息子。今回の大統領選では無所属で出馬を表明したが、8月に選挙戦から撤退しトランプ氏支持に回った。トランプ氏には、名門一族出身のケネディ氏が、有権者を民主党候補のハリス副大統領(60)から離反させられるとの期待があるとみられる。
ケネディ氏の親族らは8月、声明で、同氏がトランプ氏を支持するのは「一族の価値観への裏切りだ」としてハリス氏への支持を表明した。