米大統領選で、共和党候補のトランプ前大統領(78)の返り咲きが決まり、本格化する政権移行に向けた動きに国内からも関心が向けられた。米軍基地を抱える地域では、日米同盟を巡る負担の増加を懸念する声が上がった。戦争が起きない外交への期待も目立ち、「またトラ」のインパクトはしばらく各地に波紋を広げそうだ。
沖縄は基地負担軽減を希望
また、トランプ氏が大統領になった-。米大統領選では、その返り咲きに対する期待と警戒が「もしも…」という仮定形に込められ、「もしトラ」という表現が広まった。勝利が決定的になってからは、それが「またトラ」に変わった。
「基地負担の軽減に取り組んでいただくことを希望する」。全国にある米軍専用施設の約7割が集中する沖縄県では、玉城デニー知事が7日、コメントを出した。
米ワシントンには県の職員2人が常駐する事務所がある。県の担当者は「共和党の連邦議員の補佐官とも交流を重ねている」と胸を張るが、事務所を営業実体のない株式会社として事業者登録していたことが発覚するなど存続に暗雲も漂う。次期政権とのパイプ役として真価が問われる。
基地周辺では歓迎の声も
「在日米軍へのホストネーションサポート(思いやり予算)の増額を要求されるかもしれない」と懸念するのは、沖縄の防衛省関係者だ。「米国第一主義」をスローガンに掲げるトランプ氏は、同盟国に応分の負担を求める考え。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設までに、普天間飛行場の機能維持に必要となる滑走路などの修繕費用を求められるのではないかとみる。
米軍基地所属の兵士たちにも影響が広がり、「大統領になると決まったばかりだが、支持者は少なくない。多くの軍人が喜んでいる」(在沖縄米軍関係者)という。
米海軍基地がある神奈川県横須賀市でも反響がうかがえた。基地で勤務する建築業の男性(36)は「バイデン政権では戦争が起きた。トランプ氏なら外国ともうまくやってくれる」と話す。
米国の動向は地元経済と無関係でなく、ハンバーガー店「TSUNAMI」の飯田茂社長(71)は「また大統領になってくれて頼もしい」と祝福する。歴代大統領の名を冠した商品を提供しており、初当選後の2017年に「トランプバーガー」も発売。「前回は毎日行列ができるぐらい盛況だった。また火が付く」と喜んだ。
一方、米兵も多く訪れるという居酒屋「ヨコスカシェル」の40代の女性店員は「物価高は変わらない。誰が大統領になろうが一緒だ」と話した。(大竹直樹、塚脇亮太)