【シカゴ＝大内清】米民主党全国大会で20日、党候補指名を受けたハリス副大統領（59）の夫で弁護士のダグ・エムホフ氏（59）が演説に登壇した。ハリス氏が当選すれば史上初の「ファーストジェントルマン」となるエムホフ氏は、妻について「常に戦ってきた。国を先導する準備はできている」と語った。
エムホフ氏は、ハリス氏とのなれそめなどを冗談めかして話しながら、前妻との子供2人とハリス氏が親密な親子関係を築いてきたエピソードなどを紹介。「共感力の高さは、彼女の強さだ」と述べ、他者への共感力に欠けると指摘される共和党のトランプ前大統領（78）と暗に対比してみせた。
大統領選では、候補者本人や〝相棒〟である副大統領候補の資質に加え、配偶者の好感度も票の行方を左右する。民主党のオバマ元大統領が黒人らマイノリティー（少数派）の間で現在も絶大な人気がある理由の少なくとも一部には、黒人奴隷の子孫で多くの女性からカリスマ的人気を得ているミシェル夫人の存在があると指摘される。
今後の選挙戦でエムホフ氏が、トランプ氏の妻のメラニア夫人と対比されることは確実だ。
メラニア夫人は、トランプ氏が退任して以降はほとんど表舞台に出ておらず、夫との不仲もささやかれる。7月に行われた共和党全国大会でのトランプ氏の指名受諾演説に姿を見せたものの、スピーチは行わなかった。
これに対しハリス氏とエムホフ氏は、夫婦仲の良さを前面に押し出し、投票先を決めていない無党派層へのアピール材料にするとみられる。