【ワシントン=塩原永久】中国新興企業「DeepSeek(ディープシーク)」の生成AI(人工知能)について、米下院議員2人が6日、政府機関での使用を禁じる法案を提出した。同社の生成AIの利用者データが、中国通信大手に送信される可能性があるとの専門家の分析が判明。2議員は声明で「国家安全保障への脅威は憂慮すべきものだ」と指摘した。
AP通信によると、カナダのサイバーセキュリティー企業の解析で、利用者のログインに関する個人情報などが中国国有の通信大手、中国移動通信(チャイナモバイル)側に送信される可能性のある機能が組み込まれていることが分かったという。
チャイナモバイルを巡っては、米連邦通信委員会(FCC)が2019年、同社と中国当局との関係に安保上の懸念があるとして、米国での事業展開申請を却下した。
6日に法案を共同提出した共和党のラフード下院議員と民主党のゴットハイマー下院議員は、声明で、「中国共産党支配下の企業が米政府関係者の機器に侵入することを許してはならない」と強調。「中国との技術競争に敗れることは許されない」とも指摘した。
ディープシークの生成AIを巡っては、オーストラリアやイタリア、台湾、韓国などで、利用を制限する動きが広がっている。