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米大統領選 左派色強い民主党、「米国第一」の共和党 両党綱領を比較

産経ニュース 2024年8月22日 18時2分

11月の米大統領選に向けて民主党と共和党の綱領が出そろった。共和綱領がトランプ前大統領の「米国第一」主義に基づいて対外関係を調整する内向きな姿勢を示した一方、民主綱領には先住民や移民を受け入れる開放性が米国を発展させたとして「多様性」や「少数者の権利」を重視する左派色が強く表れた。

共和党は不法越境者を強制退去か

民主綱領は、7月のバイデン大統領の出馬辞退前に起案され、後継のハリス副大統領の立場を示す記載は少ない。ただ、ハリス氏はバイデン政権の政策を踏襲するとみられ、綱領はハリス政権が誕生した場合の方向性を知る手がかりとなる。

これに対し、共和綱領はトランプ氏が自ら執筆・編集に関与した。返り咲きを果たした場合、綱領で「犯罪の増加」をもたらし、「米国人の雇用を奪った」とする不法越境者を、国外へ「強制退去させる作戦」を実行に移す公算は大きい。

移民を巡る民主綱領の対応は寛容だ。共和党が批判してきた国境警備で強化を図る一方、亡命申請を受けつけるための担当者を増やし、一時滞在先の宿泊費などを負担する州や市に「連邦政府が助成する」と明記した。

民主は中絶の選択擁護

社会問題で、民主綱領は女性の人工妊娠中絶の選択権を擁護。トランプ前政権下で保守化が進んだ最高裁が1973年の中絶権を認めた判決を覆したことから、リベラル派判事の指名を進める。

共和綱領は「民主党が(保革逆転を)狙う最高裁判事の定員増」に抵抗し、妊娠後期の中絶に反対する方針を示した。

経済政策で、民主綱領は物価高の抑制や税制改正を通じ、低所得者や中間層の生活水準の引き上げを図る。財源は「企業や富裕層」への措置でまかなう。労働条件の改善を求めて組合を組織する権利を守るとした。

共和綱領は、住宅取得時の税制優遇など、庶民向けの減税措置を推進する。物価高は、石油や天然ガス、石炭業界への規制を緩和し、生産量を増やして抑制するとした。

近年の物価高はロシアのウクライナ侵略に伴う供給網の乱れが要因となった。共和綱領は、欧州や中東の平和を回復すると強調。欧州の同盟国について「共同防衛への投資義務を確かなものにする」、インド太平洋では「強く、自立した主権国家」を擁護するとした。

民主綱領は、同盟・友好国との連携を強化する立場を示した。中国との競争に打ち勝ち、ウクライナの復興と欧米との政治経済関係の深化を支援するとした。(シカゴ 平田雄介)

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